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夫婦げんか

 昨日、朝7時。クリニックに到着する直前、急に激しくお腹が痛み出しました。部位は右の上腹部で肝臓を押すと痛みがありました。間歇的な痛みで下痢もあり、おそらく胃腸炎だろうと思ったのですが、あまりに腹痛が強く、とても診療どころではありませんでした。急遽休診にして、痛みの部位も心配で健生病院のERを受診しました。幸い検査結果に大きな異常なく、やはり胃腸炎との診断。それにしても腹痛が強く、冷静な判断が出来ませんでした。おそらくウイルス感染にアルコールや疲れが重なったのでしょう。健康は大事ですね。ご迷惑をお掛けした皆様にお詫び申し上げます。

 さて、昨日の夜、NHKのクローズアップ現代に見覚えのある顔が出ていました。福井大学の友田明美先生です。友田先生とは2年前の弘前のFOUR WINDSでも講演してもらって、それ以来のお付き合いです。先日、その友田先生から文庫本が贈られてきました。先生が新しく上申された本です。タイトルは「子どもの脳を傷つける親たち」。本の中で先生は明らかな虐待だけで無く、些細な行為であっても子どもが傷つく行為を全て「マルトリートメント」として大人はその行為を認め、改める必要があると述べています。NHKの番組では夫婦げんかが子どもに与える影響について解説されていました。力の暴力よりも言葉の暴力の方が子どもの脳に与える影響は大きいそうです。繰り返す夫婦げんかの心理的ストレスに曝されて育った子どもは思春期に切れやすく、他人との関わりが上手に出来ない大人に成長してしまいます。しかし傷ついた脳は愛情深く接してあげることで回復するとも述べられてありました。

 本には最新の脳科学の知見から親子の関わりの大切さが分かり易く解説されています。子育て中のお父さんお母さんだけでなく、広く一般の方々にも読んで欲しい良書です。

子どもの義務

 日本も批准している「子どもの権利条約」の話題です。そのアイディアはポーランドの小児科医コルチャック先生によるものです。「コルチャック先生」は映画や演劇にもなっていてご存じの方も少なくないと思います。小児科医の彼は文筆業でも活躍し、その収入の多くを貧しい孤児のために使いました。そしてユダヤ人であった彼は収容所に入れられていた子ども達と共にナチスによってガス室に送られ、殺害されたのでした。

 さて、先々週東京で開催された日本乳幼児精神保健学会FOUR WINDSで、ある先生が「子どもの権利」ではなく「子どもの義務」と述べていました。全ての子どもは幸せになる義務がある。権利ではなくて義務。大人は子どもを幸せにする責任があるということでしょう。権利ならその権利を行使しないという選択もあるわけで、そうではなくて子どもは幸せにならなければならない。大人は子どもを幸せにしなければならない。なるほどなと思いました。

ユニセフのHPに詳しく書いてあります。
「子どもの権利」の4つの柱とは
1.生きる権利
2.育つ権利
3.守られる権利
4.参加する権利

 子どもの権利条約では親が親としての責任を行使できるよう国はそれを支援することを締約国に義務づけています。さて、それを批准している日本はその義務を十分に果たしていると言えるでしょうか・・・。

 昨年、FOUR WINDSでコルチャック先生の足跡をたどるツアーを企画していました。行きたいのは山々でしたが、そんなにクリニックを休めず諦めました。リタイヤしたら行ってみたい国の一つです。


追記:昨日アップした記事を読み返し、義務やら権利やらなどと書くときっと脅迫的に感じる人もいるのではないか?などと思い直しました。
要は国が、地域社会が如何に家族を支援して行くかが大切なのでしょう。

ワクチンの恐怖?

本屋さんで医療に関する棚を見ていたら今小児科医のMLで話題になっている本を見付けました。
近藤誠さんが書かれた「ワクチン副作用の恐怖」
何とも医療従事者ではない一般の方が興味をひきそうなタイトルです。このタイトルにしたのは出版社の入れ知恵でしょうか。中をめくってみると、ワクチンの効果を頭から否定はしていませんが、因果関係が明らかでない副反応に注目し、また現在患者が少ない疾患はワクチン不要と取られそうな記述の仕方でした。
筆者はドクターのようですが、多分この先生は実際に患者を診たことがないのだろうなと思いました。またワクチンの歴史をご存じなのだろうかと訝しく思いました。昔、百日咳のワクチンを中止したら、再び百日咳が流行したことがありました。しかしこれを読んだ一般の方はワクチン不要論を信じるかも知れません。そしてワクチンを受けないという選択をするかも知れません。もしそうなって再びVPD(ワクチンで防げる病気)が猛威を振るうようになったら、それが原因で亡くなったり合併症を起こしたりしたらと思うと恐ろしくさえあります。ワクチンを受けずに、あるいは受けられずに、亡くなった多くの子ども達がいることを忘れてはいけません。

その本の隣に「手術してはいけない病気」という本もありました。別の筆者ですが、こちらの本には例の乳がんで亡くなられた歌舞伎役者の奥さんの事が書いてありました。彼女は根拠のない民間療法を信じ、受診のタイミングが遅れてしまったようです。最初に見つかった時点で手術すれば助かっていたはずと書いてありました。しかしその様な経緯をたどってしまった彼女、ご主人の葛藤があったのでしょうね。この本のタイトルは?ですが、内容は○かな〜。じっくり読んでいないから分かりませんが。

 更にその隣の本、「ブラック病院」。この本には都会のほとんどのクリックは金儲けに走り、まともな医療をしていないとありました。
この筆者はよほど酷い医者にしか掛かったことがないのでしょうね。
「よい病院」、「名医が居る病院」なんて本もある意味、かなりの問題本です。

本屋さんには似たような本が沢山並べてありました。何でもありの世の中なのでしょうかね。

コウノトリ

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 今、話題のテレビ番組の話しです。先々週の放送を師長の赤平が観ていて、その内容を教えてくれました。子宮頸がんワクチンの話題だったようです。赤平が言うには偏ることなく正確に情報を伝えていて良かったそうです。子宮頸癌ワクチンは必要なワクチンであること、それでも一般の人は不安を抱いていること。医療関係者でない人がどのように考えているかがよく分かると言っていました。
 先週の放送を僕も観てみました。先週のテーマは産後うつでした。周産期(出産前後)、女性はホルモンバランスや体の劇的な変化、社会環境の変化、家族との関係性、育児のストレスなど色々な要因でうつになりやすいのです。ごく普通の母親の10%が周産期にうつ病を発症するというデータがあります。ドラマの主人公、産科のドクター達が真剣に向き合っているのが印象的でした。
 先日参加したある勉強会で同じテーマ、周産期のメンタルヘルスが取り上げられました。今ひとつ、産科の先生方の熱意が伝わっては来ませんでしたが、スタッフを連れて勉強会に来てくれること自体、𠮷としましょう。

 里が紅葉する頃、山の木々はもうすっかり葉を落とし、寒々としています。日曜日、八甲田では接近中の台風の影響か、お昼前から雨が降り出しました。それでも登っている登山客は少なからずいました。物好きというか何というか・・・。高齢者の団体山も2パーティ。標準語でしたから県外の登山客でしょう。予定を変更できなかったのでしょうね。

スペクトラム

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『スペクトラム』 元々は物理学で連続体のことをいいます。よく目にするスペクトラムが空の虹です。これは光のスペクトラム。光をプリズムで分解すると波長の短い紫色から波長の長い赤色まで連続的に分かれますが、決して七つの虹色にくっきり境がある訳ではありません。
 最近はスペクトラムというと自閉症スペクトラムがよく知られるようになりました。それで医療や療育関係者の間ではあの子はスペクトラムだなんて言うのを聞いたりします。これは自閉症の特性の強い子から、ほんの少しその特性を持つ定型発達(=正常)に近い子まで連続している事からそう呼ばれるようになりました。スペクトラムを言い換えると多様性ということでしょうか。僕自身、多少の自閉的特性を持っていると思います。師長の赤平は多少のADHDの要素を持っています。しかし社会生活上、取りあえず大きな困難は抱えていないので、そうは診断しません。一方、特性の強い子は早期に自閉症と診断されて療育に入ることで良い所を少しでも伸ばして、社会生活への適応を図ります。

 さて問題は、ある程度特性を持つもののそれと診断するのが難しい子ども達です。先の日曜日、秋田で開かれた小児心身医学会東北地方会。その大会長講演は秋田療育センターのW先生でした。彼の考えは様々な身体症状を訴える子がいる。その子達が自閉症の特性を少しでも持つならさっさと診断して然るべき対応を取ると講演しました。

 随分乱暴だと思いました。然るべき対応は必要ですが、僕はその子の行動、症状の意味を考えたいと思っています。そして環境調整を図る。そこに診断名は必要ではないと思うのです。極論すればどんな発達障害の子だって診断する必要は無い。診断すべきは病名ではなく、支援の方向です。本来なら診断名は不要なのです。

 そんな訳で僕は積極的に診断を付けることはしないようにしていました。そもそもが多様な子ども達なのですから、色んな子がいて良いんじゃないかと思うのです。
 僕の考えも乱暴なのかなあ・・・。

私、失敗しないので・・・?

「私、失敗しないので」
 誰もが知っているテレビ番組ドクターXの台詞です。もちろん手術で失敗されるのは困りますが、しかし世の中、全く失敗しない人はいません。それを分かった上での台詞でしょうが、時々、失敗を極端に恐れる子が外来に来ます。そこで彼らが失敗しない方法はというと、挑戦しないこと。失敗したくないからやらない。それはおそらく過去に失敗して、とても嫌な経験をしたことがあったから失敗したくないのでしょう。嫌な経験・・・そう、その代表は親から酷く罵られることでしょう。叱るだけならまだしも、子どもの人格を否定するような叱責はいけません。

 失敗や困難を乗り越える力をレジリエンスと呼んでいます。人間、生きていると様々なトラブルがあるものです。勉強や学校での人間関係、大人なら健康問題、仕事や金銭的な心配事などなど。子どもの内にそれらのトラブルを乗り越える力を身に付ける必要があります。それには何が必要か。まず基本的なベース、心の土台が必要です。それには親子の心の絆が基本となります。どんなに失敗しても、どんな君でもお母さんは君を愛していると。そこから子どもの心には自分は自分でいいんだという自己肯定感、自尊感情が生まれます。その土台が出来た上で今度は様々な経験が必要です。それには成功体験だけでなく失敗の経験も大切です。それらを糧にして子どもは失敗を乗り越える力を身につけて行くのです。だから失敗しても良いのです。

 米国の著名な児童精神科医アリシア・リーバマン先生の、FOUR WINDSの学会での講演で出てきたフレーズを紹介します。
Mistakes can be repaired(失敗は取り戻せる)

八甲田レポート:紅葉情報

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 今年の八甲田の紅葉のベストは9月下旬と予想していました。朝から快晴となった10月初めの日曜日、案の定ベストには一足遅かったようで、毛無岱では既に茶色に変わった葉もありました。しかし朝日に照らされ、むしろコントラストが強く、それはそれで綺麗でした。絶好の登山日和とあってか、ものすごい数の登山客。8時前に酸ヶ湯に着いたというのにもう駐車場は一杯でした。山の中には他県訛りや日本語以外の言葉(おそらく中国語?)が飛び交っていました。きっと八甲田の美しい紅葉の情報が海外にも届いているのでしょう。ただ美しい紅葉が比較的手軽に楽しめるとでも伝わっているのではないでしょうか。軽装の人が多かったのが気になりました。

 大岳の山頂からは360℃の大パノラマを望むことができました。南は岩手山から八幡平の山々、その左は姫神山? 東には小川原湖と太平洋の海岸線(日本一の砂丘)、そして六ヶ所村の石油備蓄基地までくっきりと見えていました。西には岩木山とその後ろの白神山地。遠くに鳥海山は・・・? 秋になると空気が澄んで遠くまで見通せるようになります。長い冬の前の一瞬の輝きに思えます。

紅葉情報:酸ヶ湯の紅葉はこれから、今度の日曜日あたりがベストでしょう。奥入瀬は更にその1週間後でしょうか。

自分のことを知るだけ

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「深夜の保護者会」、NHKの番組です。
日曜日の夜の番組に発達障害の子どもを持った親達が集まっていました。
その中でY君のお母さんが「自分は障害とYちゃんとは別のものと考えるようにしたら楽になった。Yちゃんが悪いのではなく、Yちゃんにこんな事をさせる障害が悪い、そう考えると気持ちが楽になった。Yちゃん自体を嫌いにならなくなった。」それを聞いたY君は「そういう考えは止めて欲しいな。自分と障害は別じゃない。」「自分のことを知るだけ。知ればちょっと楽になる。知って、上手く付き合って行けたら気持ちは楽になる。」それを聞いたお母さんは「親の考えているのと子どもの考えているのとが違った。子どもの方が上を行っている」と感心していました。

 ありのままを受け止めることは大切なのでしょうが、理想の子ども像が大きければ大きいほど、現実を受容することは大変です。子どもの方にも親の期待に応えたいという思いと今の自分との間にギャップがあります。心から受容できて、親が子どもの気持ちを尊重できたとき、お互いが楽になるのでしょう。

 最近、NHKで発達障害をテーマにした良い番組が沢山作られています。僕も親の本音を聞けてとても参考になりました。
それにしてもY君、凄いよ!

八甲田レポート:初秋

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 連休の初日、山では既に紅葉が始まっていました。前に登ったのが7月でしたから2ヶ月ぶりの八甲田です。台風が接近中とあってゴーゴーと風が音を立て、山頂では人も飛ばされそうなほどの勢いでした。にもかかわらず午前中は晴れとの天気予報に誘われてか、沢山の登山客で賑わっていました。頂上直下の避難小屋の前では皆、口々にこんな風は始めて、死ぬかとおもったなんて話し声が聞こえてきましたが、まあそんな日もあるのが山なのです。ただ山頂近くで出会った母親と小学生の女の子の二人連れはさすがに危険と思い、風の弱まるところまで子どもの手を引いて下ろしてあげました。女の子は泣きたいほど辛かったと思います。これで山を嫌いにならなければいいのですが・・・。

 さて、今年の紅葉は少し早いようです。毛無岱の紅葉の見頃まであと10日程でしょうか。紅葉が終わると山には直に雪の季節がやってきます。

息子の結婚式

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息子が結婚しました。
式はキリスト教の教会で行われました。比較的大きな教会で、パイプオルガンもあり、ステンドガラスに高い天井。彼は別にクリスチャンではないのですが、その雰囲気が気に入ったのでしょう。自分の結婚式がホテルの簡易的な神前結婚で、単に形式だけという感じでしたから、尚更教会での結婚式が素敵に見えました。キリスト教の教会も別に信者でなくとも受け入れるのですから、寛容なのですね。イスラム教にしたって他の宗教を認めないということはないそうですから、本来は宗教対立なんて起こりようもないのでしょうが、そこは神ではない人間の性なのでしょうか。
それにしても当に日本人は宗教に寛容で、僕自身、つられてアーメン、なんてつぶやいていました。始めて知りましたが、アーメンとは“確かにその通り”“そうなりますように”という意味だそうです。

 北海道で中学高校と思春期を過ごした僕は、海を渡り青森の弘前大学に進学し、そこで妻と出会い息子が生まれました。その青森で育った息子が今度は北海道へ移り住み、素敵な女性と出会いました。しかも広い北海道の中で、前に紹介した野幌森林公園が彼女の遊び場だったそうですから、何か不思議な縁を感じます。式には沢山の友人達が来てくれました。彼らもまた様々な縁に導かれ、集まってくれたのでしょう。その縁を大切にして人間として成長し、末永く幸せに暮らして欲しいと挨拶しました。

写真はその野幌森林公園の記念塔でプロのカメラマンが息子たちを撮影したものです。

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