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八甲田レポート:紅葉情報

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 久々の大自然レポートです。
里の桜の紅葉も始まって、山ではさぞかし進んでいるかと思いきや、例年より多少は早いものの取り分け早いというほどではありませんでした。1週間も早いでしょうか。毛無岱の紅葉は3割ほど、酸ヶ湯はこれからです。笠松峠付近ではやはり3割ほどでこちらは例年より10日ほど早いかな。今度の日曜日あたりが見頃でしょう。しかし次の日曜日は東京でFOUR WINDSのセミナーがあります。更にその次の週は藤崎で講演会。残念ながら今年も八甲田のベストの紅葉を見に行けそうにありません。

 今年の紅葉はなんだかいつもの紅葉とちょっと違っています。紅葉が進んでいる場所と、まだまだの場所が隣り合わせになったりしていました。上毛無岱の台地では結構進んで5割ほど。紅葉坂(上下の毛無岱の間の段差)はまだまだ。下毛無岱は3割ほど。場所により空気の流れで寒暖の差が違っているのでしょうか。でももうしばらくで、どこもかしこも錦に彩られることでしょう。

北東北病児保育室交流会

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 敬老の日の月曜日、盛岡で開催された北東北病児保育室交流会に参加してきました。この交流会は12年前に北東北3県の病児保育室の質の向上を目指して、自分が立ち上げた交流会です。沢山の方々の協力のおかげでこれまで続けてこられました。いつもは裏方に回ることが多いのですが、今年の交流会では自分の出番が多かった。午前中の講演と午後のロバートソンフィルムの通訳(通訳と言っても自分が訳した文章をナレーションに会わせて読み上げるだけですが)。前の日の日曜日も午前中はパパママ教室、午後はFOUR WINDSのフィルム学習会と忙しく過ごしていました。
 さて、その交流会での自分の講演のタイトルは、「北東北病児保育室交流会の12年の歩みと我々の学んだこと」。交流会の歴史とこれからの展望、自分たちが目指す病児保育をお話ししました。そして病児保育事業が究極の育児支援となるためには病児をお預かりするだけでは不十分で、保護者へのホームケアのアドバイス、社会(幼稚園や保育園)への保育看護情報の提供、更には病児保育室を利用した際に気づかれた様々な乳幼児の心の問題が、悪い方向へと進展することのないよう、良い親子関係へと発展するよう介入してゆくことであると結びました。これは僕が考えていることというだけではなく、クリニックとことりの森のスタッフ全員の思いなのです。

 本当は病児保育など必要のない社会の方が良い、病児保育は必要悪だと考えています。だから尚更のこと、ことりの森の存在意義を模索してきたのでした。そしてそれを全国や北東北交流会で発表してきました。ことりの森を開設して12年間、我々が蒔いた種は、果たして芽を出しただろうか。そんなことを考えていました。

全粒子ワクチン

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 日曜日、鹿児島から知人のM先生に来てもらい、津軽ワクチンフォーラムと銘打ち、講演会を開催しました。今週はその講演会で出ていた全粒子ワクチンが見直されているという話題です。
 ワクチンに大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンがあるのはご存じのことと思います。生ワクチンは麻疹や風疹、BCGのワクチンで弱毒化した生きてる病原体を接種するものです。不活化ワクチンとは病原体を不活化し(死滅させ)、その成分を利用してワクチンを作るものです。全粒子ワクチンとは不活化した病原体の全体から作られるものですが、もう一つ、コンポーネントワクチンがあって、それは不活化した病原体の更にその一部分を利用して作られるものです。コンポーネントワクチンは副反応も少なく、安全性が高いとされています。それに比べ全粒子ワクチンは副反応が多いという欠点があります。しかしその分、ワクチンの効果は高い。強い免疫ができてしかもそれが長持ちします。安全性を取るか、有効性を取るかということですが、実はそれだけではなく、コンポーネントでは流行を抑えることができないことがあり、全粒子ワクチンが見直されているという訳です。日本で使用されているワクチンはほとんどコンポーネントワクチンです。副反応に過剰なくらい敏感な日本では、有効性は二の次で(?)、より副反応の少ないワクチンが好まれるのでしょう。

 生ワクチンですが、ロタウイルスのワクチンに2種類あります。一つはロタリックス、もう一つはロタテック。ロタリックスは1種類のロタウイルスから作られているのに対し、ロタテックの方は5種類のロタウイルスから作られています。しかし1種類より5種類の方が良いかというとそういうわけではなく、ロタリックスはいわば全粒子ワクチン。ロタテックはコンポーネントワクチンなのです。ロタテックは牛のロタウイルスに人のロタウイルスの表面の成分をくっつけたもので、その免疫は表面の成分だけの免疫です。ロタリックスは表面だけでなく、核の部分の免疫もできて、その核の部分の免疫が5種類のロタウイルス全てに共通なので、どのロタウイルスにも有効という訳です。ちょっと難しい話になりましたね。当院では両方のロタワクチンを接種できますが、有効性はどちらも同等です。

 もう一つ、おたふく風邪ワクチンの話も書きたいのですが、長くなってしまいましたので、今週はここまで。
 M先生はお土産に鹿児島のお菓子「かるかん」を持ってきてくれました。僕が子どもの頃からあるお菓子です。小学校時代を鹿児島で過ごしたのですが、実は子どもの頃、そんなに好きなお菓子ではありませんでした。しかし今食べてみると、自然薯で作ったお餅は弾力があって、美味しく、懐かしくいただきました。鹿児島へ行ってみたくなりました。なにか学会がないかな〜 (^^ゞ

Well child care

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 恒例の8月末の外来小児科学会。今年、参加したスタッフは6名。今回もそれぞれが様々なセミナー、シンポジウム、ワークショップに別れ、勉強してきました。今日のタイトルのWell child careとは国立成育医療センター総長、五十嵐隆先生の講演の中の言葉です。講演のタイトルは「日本外来小児科学会への期待〜小児プライマリ・ケア分野における役割〜」
 日本は世界でもっとも子育てしやすい国の一つだそうです。それは福祉や教育環境の点でとういことでしょう。しかし子ども達が寂しいと感じている率は他のOECD各国が10%程度であるのに対し、日本は30%と群を抜いて高い値だとか。親と暮らしているのに寂しいと感じるなんて・・・。
Well child careとは健康な子どものケアと言うことですが、この言葉を聞いて僕は我が意を得たりと思いました。自分がいつも考えていること、そのものを表している言葉のように思えたのです。しかもそれが成育医療センターという難しい病気を診ている大病院の院長の言葉なのですから尚更です。五十嵐先生のご専門は小児腎臓病で元東京大学の教授です。一度講演を聴いたことがありますが、専門外の僕でもとても分かりやすい講演でした。そういえば弘前大学の前の小児科教授も晩年、小児保健に力を入れていました。小児保健の重要性は年を取って初めて分かることなのでしょうか。僕自身、若い頃は小児保健のことはあまり気にとめていませんでした。目の前の重症の子ども達のケアで必死でしたから。しかし今、健康な普通の子ども達が心身ともに健康に育つことの難しさを実感しています。しかもそれは年々、困難さを増しているようです。我々外来小児科医の役割とはまさにWell child care。健康な子ども達のケアとその方法を家族に伝えていくことだと考えています。