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スペクトラム

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『スペクトラム』 元々は物理学で連続体のことをいいます。よく目にするスペクトラムが空の虹です。これは光のスペクトラム。光をプリズムで分解すると波長の短い紫色から波長の長い赤色まで連続的に分かれますが、決して七つの虹色にくっきり境がある訳ではありません。
 最近はスペクトラムというと自閉症スペクトラムがよく知られるようになりました。それで医療や療育関係者の間ではあの子はスペクトラムだなんて言うのを聞いたりします。これは自閉症の特性の強い子から、ほんの少しその特性を持つ定型発達(=正常)に近い子まで連続している事からそう呼ばれるようになりました。スペクトラムを言い換えると多様性ということでしょうか。僕自身、多少の自閉的特性を持っていると思います。師長の赤平は多少のADHDの要素を持っています。しかし社会生活上、取りあえず大きな困難は抱えていないので、そうは診断しません。一方、特性の強い子は早期に自閉症と診断されて療育に入ることで良い所を少しでも伸ばして、社会生活への適応を図ります。

 さて問題は、ある程度特性を持つもののそれと診断するのが難しい子ども達です。先の日曜日、秋田で開かれた小児心身医学会東北地方会。その大会長講演は秋田療育センターのW先生でした。彼の考えは様々な身体症状を訴える子がいる。その子達が自閉症の特性を少しでも持つならさっさと診断して然るべき対応を取ると講演しました。

 随分乱暴だと思いました。然るべき対応は必要ですが、僕はその子の行動、症状の意味を考えたいと思っています。そして環境調整を図る。そこに診断名は必要ではないと思うのです。極論すればどんな発達障害の子だって診断する必要は無い。診断すべきは病名ではなく、支援の方向です。本来なら診断名は不要なのです。

 そんな訳で僕は積極的に診断を付けることはしないようにしていました。そもそもが多様な子ども達なのですから、色んな子がいて良いんじゃないかと思うのです。
 僕の考えも乱暴なのかなあ・・・。

私、失敗しないので・・・?

「私、失敗しないので」
 誰もが知っているテレビ番組ドクターXの台詞です。もちろん手術で失敗されるのは困りますが、しかし世の中、全く失敗しない人はいません。それを分かった上での台詞でしょうが、時々、失敗を極端に恐れる子が外来に来ます。そこで彼らが失敗しない方法はというと、挑戦しないこと。失敗したくないからやらない。それはおそらく過去に失敗して、とても嫌な経験をしたことがあったから失敗したくないのでしょう。嫌な経験・・・そう、その代表は親から酷く罵られることでしょう。叱られるだけならまだしも、子どもの人格を否定するような叱責はいけません。

 失敗や困難を乗り越える力をレジリエンスと呼んでいます。人間、生きていると様々なトラブルがあるものです。勉強や学校での人間関係、大人なら健康問題、仕事や金銭的な心配事などなど。子どもの内にそれらのトラブルを乗り越える力を身に付ける必要があります。それには何が必要か。まず基本的なベース、心の土台が必要です。それには親子の心の絆が基本となります。どんなに失敗しても、どんな君でもお母さんは君を愛していると。そこから子どもの心には自分は自分でいいんだという自己肯定感、自尊感情が生まれます。その土台が出来た上で今度は様々な経験が必要です。それには成功体験だけでなく失敗の経験も大切です。それらを糧にして子どもは失敗を乗り越える力を身につけて行くのです。だから失敗しても良いのです。

 米国の著名な児童精神科医アリシア・リーバマン先生の、FOUR WINDSの学会での講演で出てきたフレーズを紹介します。
Mistakes can be repaired(失敗は取り戻せる)

八甲田レポート:紅葉情報

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 今年の八甲田の紅葉のベストは9月下旬と予想していました。朝から快晴となった10月初めの日曜日、案の定ベストには一足遅かったようで、毛無岱では既に茶色に変わった葉もありました。しかし朝日に照らされ、むしろコントラストが強く、それはそれで綺麗でした。絶好の登山日和とあってか、ものすごい数の登山客。8時前に酸ヶ湯に着いたというのにもう駐車場は一杯でした。山の中には他県訛りや日本語以外の言葉(おそらく中国語?)が飛び交っていました。きっと八甲田の美しい紅葉の情報が海外にも届いているのでしょう。ただ美しい紅葉が比較的手軽に楽しめるとでも伝わっているのではないでしょうか。軽装の人が多かったのが気になりました。

 大岳の山頂からは360℃の大パノラマを望むことができました。南は岩手山から八幡平の山々、その左は姫神山? 東には小川原湖と太平洋の海岸線(日本一の砂丘)、そして六ヶ所村の石油備蓄基地までくっきりと見えていました。西には岩木山とその後ろの白神山地。遠くに鳥海山は・・・? 秋になると空気が澄んで遠くまで見通せるようになります。長い冬の前の一瞬の輝きに思えます。

紅葉情報:酸ヶ湯の紅葉はこれから、今度の日曜日あたりがベストでしょう。奥入瀬は更にその1週間後でしょうか。