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感染症サーベイランス

 昨夜の急患診療所では朝から嘔吐している子が比較的多く受診されました。インフルエンザは0でした。疑いは他県から来た1例だけ。しかしまだ発熱から時間が経っていなかったので、検査せず麻黄湯のみ処方しました。急患診療所に出るとあちこちから患者さんが来るので中弘南地域の流行状況がより分かります。

 当院の感染症発生動向と県の感染症発生動向とを比較すると、中弘南地域の各感染症の1/2から1/4が当院からの報告ですが、インフルエンザに関してはいつも1/5以下で、週によっては1/20以下ということもあります。もちろん中南地域の中でも更に流行している区域とそうでない区域があるので一概には言えませんが、僕と他の先生のインフルエンザの捉え方の違いで差が出るのかなと思ったりします。つまり僕は極めて軽症のインフルエンザを診断する必要は無いと考えています。怪しいなと思っても元気そうなら敢えて検査しないことも良くあります。そしてインフルエンザであってもそうでなくてもどちらでも良いように漢方薬を処方します。発熱患者全員の検査はしていませんし、熱のない隠れインフルエンザなんて頼まれても検査しません。全ての感染者を洗い出そうとすれば、毎日校門の前で全員に検査する必要があります。それは不可能ですし無駄なことです。

 しかし例えばエボラ出血熱などといった重症感染症であれば話しは違います。極めて致死率が高い感染症であれば、積極的に診断するでしょう。その感染症の重症度、感染力、感染経路で対応を考える必要があります。僕はインフルエンザを重症感染症とは捉えていません。ただ、稀にある重症の合併症を見逃さないようにすることが肝要と考えています。

八甲田レポート:慣れと油断

 日曜日、函館の小児科の先生を案内し八甲田を登ってきました。生憎の天候で、酸ヶ湯へ向かう途中の沖揚平では吹雪いて何度も視界0となり、10年前にここで事故ったことを思い出しました。その時も視界0で突然現れた立ち往生している車に追突してしまいました。

 山も視界が悪く、風と雪でゴーグルを付けての登山でした。当然誰も登山者はおらずトレース(踏み跡)はありませんでした。しかしそれはそれで誰も歩いた後のない雪の上を自分の足跡を残しながら歩くのは楽しいものです。途中から一般ルートを外れ、沢筋ではなく直登することにしました。雪のアオモリトドマツの林を見せてあげたかったのです。今年の樹氷は本当に大きく育ったのでしょう。山の上の方ではまだ立派な樹氷が残っていました。残念ながら強風と凍った斜面に安全を考え、頂上直下で引き返すことにしました。

 トラブルはその後でした。登りのルートファインディングは高いところを目指せばそのうち頂上に着きます。難しいのは下りです。視界が悪い時はコンパスで方向を取って降りなくてはなりません。しかし僕はこれまで何度か来たことのあるルートだから、少しは見えているし、と油断してしまいました。安全を考え、降りやすい方、降りやすい方と斜面を選ぶうち方角を間違い、大きくルートから外れてしまいました。挙げ句の果てに自分がどこにいるか分からなくなってしまったのです。幸い連れの先生の携帯のGPSで自分がどこにいるかが判明し、なんとか無事に下山することができました。案内するはずが、逆に案内して貰った訳で、全く恥ずかしい限りです。いくら慣れていても初心忘れるべからずべからず、油断大敵と学びました。

 何事もそうですよね。基本が大切です。