記事一覧

5000倍可愛い

ファイル 526-1.jpgファイル 526-2.jpg

「写真で見るより5000倍可愛い」
分娩に立ち会うことができなかった息子が、仕事が終わって病院に駆けつけ、自分の赤ん坊を見て最初に言った言葉です。僕の初孫(女の子)です。先週末、彼女に会いに札幌へ行きました。病院を離れて既に18年、生後1ヶ月前後の乳児を診察する機会はありましたが、生まれて間もない新生児を見る機会はほとんどありませんでした。会って驚きました。彼女はまだ生まれて9日目の新生児でしたが、息子の顔を見て笑顔をみせるし、何かを話したそうに口をすぼめます。表情が本当に豊かでした。替わって僕が抱っこすると彼女は「このおじさん誰?」とフリーズ。しばらく僕を見た後、顔を背けました。もうしっかり区別できているのですね。新生児の認知機能がこれほどだとは思いませんでした。息子が生まれたばかりの頃は自分も余裕がありませんでしたし、赤ちゅんの心の発達のことを勉強していませんでした。FOUR WINDSと出会い、赤ちゃんのことを勉強し、改めて赤ちゃんを観察すると、本当に面白い。しかも自分の孫ですから尚更楽しく思えました。
写真を載せますね。新生児模倣ではありません。しっかりと自分の意志を持っています。既に自己主張し始めていました。息子は「おまえの結婚相手はパパだと刷り込ませるんだ」と言っていました。親馬鹿だ〜。でも親馬鹿結構。子どもが小さい内は親馬鹿が一番です。

注)新生児模倣;生まれて間もない新生児が他者の顔の動きなどを模倣する現象のこと。

伝えたいこと

ファイル 525-1.jpgファイル 525-2.pdf

4月2日は世界自閉症啓発デーです。自閉症の啓発を目的として世界中でブルーライトが照らされたり、様々なイベントが開催されます。その日本の実行委員会公式サイトには「自閉症をはじめとする発達障害について知っていただくこと、理解していただくことは、発達障害のある人だけでなく、誰もが幸せに暮らすことができる社会のじつげんにつながるものと考えております」とありました。
日本でも各地でそれに因んだ催しが開催されます。弘前ではその日の日没から午後9時までお城がブルーにライトアップされ、弘前大学精神科の主催で講演会が開催されます。青森市でもアスパムをブルーライトアップし、発達障害者支援センター、ステップの主催で講演会が開催されます。実は今年、そのステップさんに青森での講演を頼まれました。最初に話が来たとき、自分は発達障害を研究している専門家ではないのでお断りしようと思ったのですが、対象が一般の方というのと、所長さんに僕がブログに書いた「発達障害があろうとなかろうと、もともと多様な子ども達なのだから色んな子がいて良いのではないのではないか」と書いたのを読んで、それで僕を指名したと言われ、講演を引き受けることにしました。
年のせいなのでしょうか。最近、色々と講演を頼まれることが多くなりました。講演の準備をすることは自分の勉強にもなります。口下手な僕ですが、引き受けたらからには自分が日頃考えていることを伝えたいと考えています。チラシを載せます。もしご興味がおありでしたらご参加ください。

小児科医のアイデンティティとは

弘前市では4ヶ月と7ヶ月健診を個別健診で、1歳半と3歳半健診を集団でやってきました。今年の春からその集団健診が少し変わります。まず今年から3歳半健診が、来年度から1歳半健診も変わります。小児科医は身体を診察するだけ、発達の評価は大学の精神科が行うことになりました。まず問診票でチェックし、それで引っ掛かったこどもは大学の精神科に行ってそこで検査、評価を行い発達障害か否かを診断するというものです。健診会場には精神科のお医者さんは来ません。
 僕はその新しいシステムに反対してきました。確かに今までの健診では診断されずに見過ごされてきた発達障害の子達がいました。しかし診察もせずチェックリストだけで疑いのある子を大学に呼び出し検査する。ちょっと乱暴ではないかと思ったのです。もちろん早期に診断し、早くから療育することで救われる子もいるでしょう。しかしそれで傷つき悩む親子いるのではないかと危惧するのです。そして何よりそれに対応する社会のシステムが整っていません。

発達障害の診断は検査だけでは分からないと思っています。診断すべきは診断名ではありません。その子の困りごとが何処にあって、どんな支援を必要としているか、支援の方向性を診断することです。それは簡単ではありません。なぜなら単に認知機能の問題だけではなく、何より関係性の評価が大切だからです。子どもは発達し変化します。簡単に診断するべきものではありません。しかも大学に呼び出されただけでご両親は大きな不安を抱えます。大学の精神科の先生に質問しましたが、そこは時間を掛けて慎重に評価するとは言っていました。

自分が一番残念なのは小児科医としてのアイデンティティを傷つけられたように感じたことでした。体も心もそして発達も加えて環境も全てをトータルで評価できるのが小児科医だと思っています。それを小児科医は体だけ診ればいいだなんて!

そんな理由で4月からの集団健診を僕はボイコットしました。本当は他の小児科医と示し合わせれば良かったのですが、ボイコットしたのは僕一人でした。自分が抜けた分、他の先生の負担が増えてしまいました。なんだか自分が悪者になった気がします。

問題の多い新しい健診システムですが、これまでその問題を解決してこなかった小児科医にも責任があります。小児科医と精神科医が手を取り合ったより良い健診システムができることを望んでいます。

今も昔も

「君たちはどう生きるか」
最近話題になっている本のタイトルです。先日、本屋さんでレジの横に積まれていて思わず一緒に買ってしまいました。今、クリニックのフロアの本棚に並べました。僕は始めてでしたが、奥さんに聞いたら昔中学の頃に読んだと言っていました。(もちろん漫画でなく)

自分も中高生の頃、同じような悩みを抱いていました。
「自分は何の為に生きているのか」「自分の存在価値は?」「人生の意味とは?」
その頃はこんな青臭い問いはおそらく大人になったら解決するのだろうと思っていました。しかし今も同じような問いかけをしながら生きています。この本が若い子ども達だけでなく大人にも読まれているのは、おそらく他の人も同じように「自分はどう生きたらよいのか」と自問自答しながら生きているのでしょう。その解答が見つかるかも知れないと思ってこの本を手に取るのかも知れません。
さて、今の自分は・・・、明確な答えは見つからなくてもそう悩みながら生きて行くだけで良いのかなと考えています。少しお気楽です。
そして命果てるとき、自分は己の人生をどう振り返るのだろう、そんな事を考えていました。

色々と忙しく、山へ行けていません。
大自然レポートは3月になりそうです。

カマキリの卵

ファイル 518-1.jpg

 青森市のある方が「今年は雪が少ないと思っていた」と言っていたと聞きました。それはカマキリの卵の位置が低かったからだそうです。カマキリは冬の間、卵が雪に埋もれないような位置に産卵するそうで、それが今年は例年より低かったと。カマキリの卵の位置でその年の雪の深さが分かるのですね。この冬の青森は出だしは早かったのですが、どうも少雪のようです。そこで暮らす者にとっては幸いですが、しかしあまりの少雪はかえって夏の水不足も心配になります。

 さて、今週の写真はニセコ。毎年成人の日の連休をニセコで過ごすのを恒例にしていました。津軽は少雪ですが、今年のニセコは最高でした。ここ数年で最高の積雪。ゲレンデでさえもフカフカの深雪で十分楽しめました。もちろんゲレンデ以外(オフピステ)も楽しく、ニセコは手軽にパウダースノーを楽しめるパラダイスなのです。

 ニセコはいつも札幌のH先生と滑っています。彼は僕のボードの師匠です。30年前に彼にボードを教えてもらったのが僕のボードの始まりでした。昼は存分にボードを楽しみ、夜は夜で美味しい日本酒を飲みながら、同業者同士、遅くまで語り合ったのでした。

新年のごあいさつ

ファイル 517-1.jpg

皆様、明けましておめでとうございます。

 戌年の今年、我が家に届いた年賀状のうち何通かは愛犬の写真でした。そういう我が家の年賀状も今年は犬の写真。トイプードルとペキニーズのミックスで、まだ2歳の甘えん坊です。そして写真の下に「子ども達が巣立った今、コタローが子ども代わり?いや孫の代わりです」と書き添えました。

 これまで毎年、正月登山を恒例としてきましたが、子ども達が成人し、それぞれに家庭を持ち、伴侶を伴って、あるいは大きなお腹で帰省し、山どころではありませんでした。そんな訳で今年の最初の写真は年賀状と同じコタローです。

 昨年は故障が多く、思うように山を登れず自転車も走れずの一年でした。今年は体調管理を万全にし、山を登ろうと思います。そしてもう少し日々のんびりと行こうと考えています。このブログも毎週は難しいかも知れませんが、時間が出来たら、無理せず更新して行きますね。

それでは皆様、今年もクリニック共々よろしくお願い申し上げます。
m(__)m

夫婦げんか

ファイル 516-1.jpg

 昨日、朝7時。クリニックに到着する直前、急に激しくお腹が痛み出しました。部位は右の上腹部で肝臓を押すと痛みがありました。間歇的な痛みで下痢もあり、おそらく胃腸炎だろうと思ったのですが、あまりに腹痛が強く、とても診療どころではありませんでした。急遽休診にして、痛みの部位も心配で健生病院のERを受診しました。幸い検査結果に大きな異常なく、やはり胃腸炎との診断。それにしても腹痛が強く、冷静な判断が出来ませんでした。おそらくウイルス感染にアルコールや疲れが重なったのでしょう。健康は大事ですね。ご迷惑をお掛けした皆様にお詫び申し上げます。

 さて、昨日の夜、NHKのクローズアップ現代に見覚えのある顔が出ていました。福井大学の友田明美先生です。友田先生とは2年前の弘前のFOUR WINDSでも講演してもらって、それ以来のお付き合いです。先日、その友田先生から文庫本が贈られてきました。先生が新しく上申された本です。タイトルは「子どもの脳を傷つける親たち」。本の中で先生は明らかな虐待だけで無く、些細な行為であっても子どもが傷つく行為を全て「マルトリートメント」として大人はその行為を認め、改める必要があると述べています。NHKの番組では夫婦げんかが子どもに与える影響について解説されていました。力の暴力よりも言葉の暴力の方が子どもの脳に与える影響は大きいそうです。繰り返す夫婦げんかの心理的ストレスに曝されて育った子どもは思春期に切れやすく、他人との関わりが上手に出来ない大人に成長してしまいます。しかし傷ついた脳は愛情深く接してあげることで回復するとも述べられてありました。

 本には最新の脳科学の知見から親子の関わりの大切さが分かり易く解説されています。子育て中のお父さんお母さんだけでなく、広く一般の方々にも読んで欲しい良書です。

ワクチンの恐怖?

本屋さんで医療に関する棚を見ていたら今小児科医のMLで話題になっている本を見付けました。
近藤誠さんが書かれた「ワクチン副作用の恐怖」
何とも医療従事者ではない一般の方が興味をひきそうなタイトルです。このタイトルにしたのは出版社の入れ知恵でしょうか。中をめくってみると、ワクチンの効果を頭から否定はしていませんが、因果関係が明らかでない副反応に注目し、また現在患者が少ない疾患はワクチン不要と取られそうな記述の仕方でした。
筆者はドクターのようですが、多分この先生は実際に患者を診たことがないのだろうなと思いました。またワクチンの歴史をご存じなのだろうかと訝しく思いました。昔、百日咳のワクチンを中止したら、再び百日咳が流行したことがありました。しかしこれを読んだ一般の方はワクチン不要論を信じるかも知れません。そしてワクチンを受けないという選択をするかも知れません。もしそうなって再びVPD(ワクチンで防げる病気)が猛威を振るうようになったら、それが原因で亡くなったり合併症を起こしたりしたらと思うと恐ろしくさえあります。ワクチンを受けずに、あるいは受けられずに、亡くなった多くの子ども達がいることを忘れてはいけません。

その本の隣に「手術してはいけない病気」という本もありました。別の筆者ですが、こちらの本には例の乳がんで亡くなられた歌舞伎役者の奥さんの事が書いてありました。彼女は根拠のない民間療法を信じ、受診のタイミングが遅れてしまったようです。最初に見つかった時点で手術すれば助かっていたはずと書いてありました。しかしその様な経緯をたどってしまった彼女、ご主人の葛藤があったのでしょうね。この本のタイトルは?ですが、内容は○かな〜。じっくり読んでいないから分かりませんが。

 更にその隣の本、「ブラック病院」。この本には都会のほとんどのクリックは金儲けに走り、まともな医療をしていないとありました。
この筆者はよほど酷い医者にしか掛かったことがないのでしょうね。
「よい病院」、「名医が居る病院」なんて本もある意味、かなりの問題本です。

本屋さんには似たような本が沢山並べてありました。何でもありの世の中なのでしょうかね。

コウノトリ

ファイル 513-1.jpgファイル 513-2.jpg

 今、話題のテレビ番組の話しです。先々週の放送を師長の赤平が観ていて、その内容を教えてくれました。子宮頸がんワクチンの話題だったようです。赤平が言うには偏ることなく正確に情報を伝えていて良かったそうです。子宮頸癌ワクチンは必要なワクチンであること、それでも一般の人は不安を抱いていること。医療関係者でない人がどのように考えているかがよく分かると言っていました。
 先週の放送を僕も観てみました。先週のテーマは産後うつでした。周産期(出産前後)、女性はホルモンバランスや体の劇的な変化、社会環境の変化、家族との関係性、育児のストレスなど色々な要因でうつになりやすいのです。ごく普通の母親の10%が周産期にうつ病を発症するというデータがあります。ドラマの主人公、産科のドクター達が真剣に向き合っているのが印象的でした。
 先日参加したある勉強会で同じテーマ、周産期のメンタルヘルスが取り上げられました。今ひとつ、産科の先生方の熱意が伝わっては来ませんでしたが、スタッフを連れて勉強会に来てくれること自体、𠮷としましょう。

 里が紅葉する頃、山の木々はもうすっかり葉を落とし、寒々としています。日曜日、八甲田では接近中の台風の影響か、お昼前から雨が降り出しました。それでも登っている登山客は少なからずいました。物好きというか何というか・・・。高齢者の団体山も2パーティ。標準語でしたから県外の登山客でしょう。予定を変更できなかったのでしょうね。

私、失敗しないので・・・?

「私、失敗しないので」
 誰もが知っているテレビ番組ドクターXの台詞です。もちろん手術で失敗されるのは困りますが、しかし世の中、全く失敗しない人はいません。それを分かった上での台詞でしょうが、時々、失敗を極端に恐れる子が外来に来ます。そこで彼らが失敗しない方法はというと、挑戦しないこと。失敗したくないからやらない。それはおそらく過去に失敗して、とても嫌な経験をしたことがあったから失敗したくないのでしょう。嫌な経験・・・そう、その代表は親から酷く罵られることでしょう。叱るだけならまだしも、子どもの人格を否定するような叱責はいけません。

 失敗や困難を乗り越える力をレジリエンスと呼んでいます。人間、生きていると様々なトラブルがあるものです。勉強や学校での人間関係、大人なら健康問題、仕事や金銭的な心配事などなど。子どもの内にそれらのトラブルを乗り越える力を身に付ける必要があります。それには何が必要か。まず基本的なベース、心の土台が必要です。それには親子の心の絆が基本となります。どんなに失敗しても、どんな君でもお母さんは君を愛していると。そこから子どもの心には自分は自分でいいんだという自己肯定感、自尊感情が生まれます。その土台が出来た上で今度は様々な経験が必要です。それには成功体験だけでなく失敗の経験も大切です。それらを糧にして子どもは失敗を乗り越える力を身につけて行くのです。だから失敗しても良いのです。

 米国の著名な児童精神科医アリシア・リーバマン先生の、FOUR WINDSの学会での講演で出てきたフレーズを紹介します。
Mistakes can be repaired(失敗は取り戻せる)

ページ移動