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八甲田レポート:新緑の森

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 ブナの新緑が好きです。その若葉には産毛が生え、光を透き通し輝きます。里では随分と緑が濃くなってきましたが、山の緑はまだまだ優しく癒やされます。
先々週まで雪に覆われれていた山々もこのところの暖かさで一気に雪解けが進んでいます。酸ヶ湯からの毛無岱へと続く登山道もほとんど雪が消えました。2週間前の酸ヶ湯はまだ若葉が芽吹き始めたばかりでしたが、あっという間に一面、緑の世界に変わっていました。

 朝のうち曇っていた空も登るにつれて青空の面積が増え、赤倉岳に上がる頃にはすっきりと晴れ上がりました。毛無岱の湿原ではショウジョウバカマやミズバショウに加え、早くもチングルマが咲き始めていました。赤倉岳の尾根に上がるとキスミレが出迎え、その南斜面にはミネズオウの群落が一面のお花畑を成していました。井戸岳の岩稜(外輪山)ではミヤマキンバイ、コメバツガザクラが例年と同じに可憐な花を咲かせていました。これからしばらく八甲田では様々な高山植物が代わる代わる咲き、登るたびに違う花を楽しめます。

 登山客は多いと言うほどではありませんが、それでも何人もの人が春の八甲田を楽しんでいました。しかしこのコロナ禍で登山の自粛も呼びかけられたためでしょうか。例年の春山のような賑やかさはありませんでした。
 かつて大岳山頂はハイマツで覆われていたそうです。しかしそれが多すぎる登山客に踏み荒らされ枯死し、今、山頂周辺は広い裸地が広がっています。井戸岳の斜面も崩れが目立ち、なかなか修復作業が追いつきません。ただ、おそらく今年は学校の集団登山はないでしょうし、商業ベースの集団登山も減るのではないでしょうか。それが幸いして、少しでも荒れた山肌が回復することを期待しています。