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PとN

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 先日、愛着障害の講演を頼まれた秋田の親力・教師力アップセミナーでシンポジウムがありました。そのシンポジウムで知り合いの臨床心理士がPとNの話しをしました。Pとはポジティヴ、Nとはネガティヴです。すなわち人の心にはPとNとがある。Nの気持ちと言葉で子どもに接すると、子どもからはNの反応が返ってくる。しかしPの気持ちと言葉で接すると、子どもからはPの反応が返ってくる。分かりやすいなと思いました。
 つい親は子どものできないところにばかりに目が行ってしまいます。もちろんそれは子どもへの期待が大きいことの現れでしょうが、それを言葉にしてしまうと、子どもからは反発する言葉と態度しか帰ってきません。褒めて育てろとはよく言います。でも褒めるのも容易ではない。褒め言葉なんて出てこないのが普通です。褒めるのにも練習が必要なのです。しかし、褒めなくてもいいから、今、出来ていることを認めて、頑張っていることを認めてあげるだけで構いません。それが肯定的なメッセージになります。それで子どもは素直に育ちます。

 さて、話しは変わりますが、先週火曜日朝6時、サイレンの音が鳴り響きました。空襲警報を連想した方も多かったのではないでしょうか。国と国との対応もPとNではないでしょうか。Pの対応で国交を行うと上手くいくのではないかと思うのは甘い考えなのでしょうかね。北朝鮮もアメリカも、そして日本の政府の対応も不安でなりません。

写真は去年、長崎で撮った平和祈念像です。

癒やしの森

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 お盆の休みを利用して札幌へ行き、息子の結婚式の教会と披露宴会場を下見してきました。そう、彼は来月、結婚するのです。
教会は荘厳な雰囲気で良かったですし、それに隣接する披露宴会場も落ち着いていて素敵でした。

 まあそれは𠮷として、今回時間が出来たので札幌のすぐ北にある野幌森林公園へ行ってきました。実は自分が高校生の頃、その公園の直ぐ近くに住んでいて、日曜日よく一人で散歩したものでした。双眼鏡を首からぶら下げ、野鳥の姿を追いながら歩きました。公園と言ってもそこは北海道、周囲は10kmもあるでしょうか。中心部の一般コースを歩くだけでもゆうに1時間は掛かる広大な公園です。
久し振りに訪れたその森は緑豊かな広葉樹の森で、懐かしく心癒やされました。その時、分かったような気がしたのです。自分の原点はこの森にあるんじゃないだろうかと。大学へ行って山岳部に入ったときも、決して最初から山を登りたかったわけではありませんでした。知らない森に行くことができて、見たことのない野鳥に出会えるかも知れないと思ったからです。スノーボードもゲレンデより山を滑るのが好きですし、バイクもワインディングロードが好きです。それらの始まりがここにあるように思えたのでした。

 野幌森林公園、素敵な癒やしの森の公園です。皆さんももし時間があったらその森を歩いてみませんか。

広島の暑い日

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 広島での1週間の研修は学びの多いものでした。3人の児童精神科医の診察を陪席させてもらい、療育機関では実際の療育の様子を見学させてもらいました。還暦を過ぎての新人研修でしたが、実りの多い1週間でした。少しでも彼らに近づきたいという思いと、いやいや自分には到底無理という思いとが交錯していました。
まあ自分にできる範囲で、自分のスタイルを作るしかないのでしょう。

 それにしても広島は暑かったです。連日35℃を越えていました。研修が終わった土曜日、市内に宿を取れず、どうせならと宮島に移動し、そこで6日を迎えました。朝早く、まだ人の少ない厳島神社を参拝し、ホテルに帰って8時15分、島のサイレンが鳴り響きました。そう、6日は原爆記念日でした。例年だと式典の様子を後でニュースで見るだけでしたが、今年は中継をずっとテレビで見ていました。子どもの代表のスピーチに思わず胸が熱くなりました。原爆が投下された日も快晴だったそうです。きっと同じように暑かったのでしょう。今年の8月6日は僕にとっても特別の日になりました。

絵本の読み聞かせ

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 先週、童話館から取材を受けました。童話館は長崎にある絵本の出版社です。前々から当院を取材したいと言っていて2年前に亡くなられた先代の社長さんの意志を継いでのことでした。社長さんは「何故ただの小児科医が子どもの心に診療に関わるようになったのか、その訳を知りたい」と仰っていました。澤田敬先生と一緒に弘前に来ると言っていましたので、もしそれが実現したら澤田先生の甘えの話しと社長さんの絵本の話しで特別講演会を企画するつもりでした。とても情熱的な方でしたので、お亡くなりになったと聞いてとても残念に思ったものでした。
 さて、今回取材に来られたのは若い女性の方でした。様々な質問の中で、絵本の話になり、僕が毎晩のように子ども達に絵本の読み聞かせをやっていたと話したら、彼女に「それでお子さん達は大きくなられてどのように育ちましたか?」と聞かれました。絵本を沢山読んであげてそれで子ども達がどう育ったかなんて考えてもみませんでしたから返答に困り、「読み聞かせで子ども達がどう育ったかは分からないけど、その時間は自分には幸せな時間だった」と答えました。その話しを帰って奥さんにしたら、「二人とも本が好きになったし、Y(長男)なんか学校の実力試験で問題文を読んでて、それが悲しい内容だったからテストを受けながら泣いてたって聞いたよ」と教えてくれました。二人とも感性豊かに育ったようです。どうも父親というものは自分の子ども達のことを良く分かっていないようですね。僕だけかな (^_^;

 長崎の大浦天主堂の直ぐ下に童話館の「祈りの丘 絵本美術館」があります。もし皆さんも長崎に行かれたら、ついでに覗いてみてはいかがでしょうか。小さいけど素敵な美術館ですよ。
写真は去年FOUR WINDSの学会で長崎に行ったときに撮ったものです。

八甲田レポート:ワタスゲ

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 久し振りに何の予定もなくFreeとなった日曜日、八甲田を登ってきました。全国的に暑い一日となり、熱中症の注意報も出ていて、いつもより水分を多めに持って行きました。8時過ぎに酸ヶ湯に着くと、何があるのか大勢の登山客。広い駐車場ですが車が溢れ、自分の車を駐めることが出来ません。見ると横断幕があって「山開き登山大会」とありました。八甲田でも山開きをやっていたのですね。知りませんでした。どうして山開きなんてあるのだろう。春夏秋冬、それぞれの季節の山があるのに、その言葉が僕にはどうもぴんときません。ニュースで230人が集まったとありました。車を駐車場から外れたキャンプ場へと通じる道の路肩に駐め、彼らと一緒にならないようにと急いで支度をして登り始めました。

 山はすっかり盛夏。毛無岱の湿原では一面にワタスゲが風に揺れていました。今年のワタスゲは例年よりも見応えがありました。稜線ではミヤマオダマキが盛りを過ぎ、ヨツバシオガマやイワブクロなどの夏の花が可憐な花を咲き始めていました。

 それにしてもどうして人は群れたがるのでしょう。特に日本人は群れたがるようです。イワシなどの弱い魚が群れるのは身を守るためと言われています。スズメやムクドリは冬になると群れを作って行動します。その方がエサを見付けやすいからでしょうか。渡り鳥が群れて飛ぶのは空気抵抗を減らすため。動物の群れはそれぞれ意味が異なるように思います。さて、日本人は何故群れたがるのか。集団の方が楽しいから? 一人だと不安だから? 人任せに出来て気楽だから? 自分で責任を負わなくて良いから? 多分、山へ入ってみたいが経験も少ないし、1人だと不安だからといったところでしょうか。
 仲間と行くのが楽しいという人も居るでしょうが、僕は周りに人が沢山いると、自然の声が聞きにくくなるけどなあ。1人か、気心の知れた山仲間2、3人で登るのが好きです。

 子ども達が群れるのも特別な意味があります。思春期の子ども達の発達課題はアイデンティティの確立とそこから導かれる親からの独立、親離れです。その試練に立ち向かう不安を和らげてくれるのが友人達です。仲間を作り、徒党を組み、子ども達は巣立ちの準備をします。しかし中にはその友人を作れない子どもも居ます。そんな子ども達をサポートしてあげたいと願い、その手段、方法を模索中です。

滑液包炎と五苓散

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 メルマガには書いたのですが、3週間前の木曜日に突然左肘が痛み出し、その夜の悪寒倦怠感と全身の関節痛。そして次の朝には僕の左肘は大きく腫れて、蜂窩織炎と診断しました。焦って抗生剤の点滴と内服、患部をクーリングし痛みは1週間程で軽快しました。しかしその後も浮腫が取れず、皮膚科の先生に相談したところ、消炎剤が良いというアドバイス。そこでロキソニンをしばらく飲んで浮腫は治まりました。ところが今度は左肘の関節周囲にボヨ〜ンと柔らかな腫瘤が出来てしまったのです。超音波で見てみると、厚めの皮に覆われた囊胞がありました。中身は水(漿液)のようです。これは困ったと、また皮膚科の先生に診てもらいました。診断は滑液包炎。ネットで調べると、長時間肘をついたり、細菌感染が原因となることがあるようです。今回は蜂窩織炎が原因でしょう。しかし待てよ・・・ひょっとして毎日プランク・エクササイズをやっていたからそれが原因かも。椎間板ヘルニアの治療として春からずっとやっていたのですが、まさかね。

 さて、その滑液包炎の治療ですが、皮膚科の先生は自然に引けるのを待っていても良いのではと言っていました。でも試しに五苓散を飲んでみることにしました。そうすると一日で囊胞が少し小さくなった気がします。これは良さそうです。
 五苓散は嘔吐下痢症でよく使います。喉が渇くけど、飲むと吐くといった症状の時、最も有効です。その元々の薬理作用は体内の水をコントロールすることです。頭がむくんでの頭痛や、足の浮腫にも有効です。漢方薬というと、長く飲んでゆっくり効く薬と思われがちですが、小児科でよく使う漢方薬は即効性のものが多いのです。五苓散はその効果を実感できる優れたお薬の一つです。


プランク・エクササイズ
 床にうつぶせに寝て、体を真っ直ぐにし、立てた肘とつま先とで体を支えるエクササイズです。インナーマッスルのトレーニングとして、ヘルニアで受診した整形の先生に勧められました。それを朝夕、3分ずつやっていました。ウエストのサイズダウンに効果的。腰のくびれも出来るそうですよ (^_^)v

4つのS

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日曜日、FOUR WINDSのセミナーに参加してきました。
今回は渡辺久子先生の講義。
今日のタイトルはその講義の中で出てきた日本文化の特徴を言い表した4つのキーワードの頭文字です。
それは
Simple 簡素で
Small 小さく
Slow ゆったりと
Silent 静寂な文化

確かに日本の文化は慎み深く質素、それでいて緻密です。絢爛豪華なものは少ない。しかしその4つのSはSustainable(継続可能な)もの。煌びやかに着飾るものより続けることが容易なものです。そしてそれは子育てにも当てはまります。
子どもは「甘えと遊び」で育ちます。高額な玩具などなくても、子ども達は工夫して自分で遊びを作り出します。穏やかで思いやりのある環境で見守られ、のびのびと遊ぶことで子どもの心は健やかに育ちます。

 先日、テレビのニュースで、ある自治体が夏休みを10日に短縮することを決めたとありました。理由は英語の授業時間の確保と、1日の授業数を削減し、教員の繁忙を解消するため。それに対しての保護者の反対意見は夏休みに部活に出られなくなる・・・
う〜ん、どっちもどっちだ。
自分が子どもの頃、夏休みはのびのびと自由に遊んでいました。友達と遊んだり、家族でキャンプに行ったり。遊びを通して子どもは色んな事を学んで行きます。友達と遊ぶことで社会性も育ちます。
さて、今の子ども達はのびのびと遊ぶことが出来ているでしょうか。

外来で真っ黒に日焼けした子どもを見るとほっとします。
「先生より黒いね。先生、負けた。お外で一杯遊んでいるんだね。」
「今日ね、これからザリガニを捕りに行くんだよ」
津軽の子ども達はまだまだ健全なようです \(^O^)/

次の世代に伝えたいこと

 FM青森の番組に出始めて、もう15年以上になります。これまで様々な話題をお話ししてきましたが、最近は病気の話しはせずに育児関係や子どもの心をテーマにしてお話ししています。
今週の火曜日の夜に次回の放送分を収録しました。
今回のテーマは「次の世代に伝えたいこと」
これは赤平が言い出したテーマです。丁度、彼女が先週と今週、大学で学生相手に講義してきたので思いついたテーマでした。自分も還暦を過ぎ、元気で仕事出来るのもそう長くはありません。この先、自分が学べることにも限りがあります。自分に残された時間はそう長くない、そう思ったとき、残る手段は次の世代に思いを託すことです。
 さて、放送時間は限られていますが、少しは話せたかな。僕の思いが聴取者に伝わってくれると嬉しいのですが・・・。
しかし話し下手で言葉足らずだからなあ (^_^;

 自分で自分の放送を聞く気はしませんが、もし聞いた人に出会ったら、感想を聴いてみたいと思っています。

海の向こうに

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 自分の出生地は富山県高岡市です。両親の出身は隣の氷見市で、ブリ漁で有名な港街です。親が転勤族だったので、1歳の誕生日を迎える前に島根県に引っ越していますから、生まれた街の記憶は全くありません。両親の故郷の氷見は今も沢山の親戚が居て、自分も何度か行っています。特に学生時代、北アルプスを登った帰りによく寄ったものでした。しかし卒業してからは滅多に行くことはなく、最後に行ったのは叔母が亡くなった7年前でした。
 今年の小児科医会フォーラムが富山市で開催され、丁度良い機会と氷見の母の実家の、天理教の協会へ行ってきました。氷見で暮らしたことはないのですが、その街並みは自分にはどこか懐かしく思え、もしかすると意識下の表象世界に氷見があるのではないかと思うのです。そこで生まれ、赤ん坊時代を過ごしている訳ですから、それは当然かもしれません。

 さて、氷見はブリだけでなく、海の向こうに立山連峰を望む美しい景色でも知られています。例年だとこの季節、ほとんど山を望むことは出来ないのですが、どういう分けか今年は山が見える日が多いそうです。朝、教会の裏の朝日山公園に登ると、前日の雨が上がり、立山連峰が見えていました(写真左)。昼にはすっきりと晴れ上がり、富山市内の環水公園からは学生時代に登った剱、立山の懐かしい峰峰を美しく望むことが出来ました(写真右)。
左の険しい山が剱岳、真ん中が立山、氷見からの写真で右のなだらかな山が薬師岳です。

ネットで氷見と立山連峰で検索すると美しい写真が沢山出てきますよ。

夏の休診の理由

 去年の4月から始めた「こどもの子心相談室」も早、1年が過ぎました。今15ヶ月目です。当初、乳幼児の相談をメインで考えていましたが、今は小学校高学年、中、高校生の発達障害や不登校がほとんどの思春期外来となっています。思春期に入り様々な問題が起きないように乳幼児期から予防的に関わりたいと考えていたのですが、なかなかそうは思い通りに行きません。

 先日、児童精神科の杉山先生の本を読んでいて、成人ばかり見てきた精神科医は「経験豊かな児童精神科医の臨床陪席が必要」と書いてあるのを見付けました。自分は乳幼児は随分と勉強してきましたが、「思春期の子ども達を診るにはまだ未熟ではないのか。」日頃からそう思っていた自分にはその言葉にはっとさせられました。「やはり自分も児童精神科医の実際の臨床に陪席し、学び直そう。」そう思い始めると居ても立ってもいられず、友人の精神科医にメールしていました。「1週間、勉強させてくれ」と。返事はもちろんOK。そんな訳で8月の初めの1週間を休診にし、広島に行って勉強してきます。
またまた我が儘な還暦小児科医の行動をお許しください。

しかし今から緊張している自分に気付いていました。