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日本小児科学会総会

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 ほとんどの小児科医が加盟している日本小児科学会。年に1回の総会が毎年4月に開催されます。今年の総会は大阪でした。自分が所属している学会としては最大の学会で会員は全国で2万人あまり。大阪大会の参加者は7000人を越えたそうです。

 小児科学会は小児医療に関する全ての分野がテーマですから、子どもの消化器疾患、呼吸器疾患、循環器疾患、神経疾患・・・。病気だけでなく小児保健、社会問題・・・、実に様々なテーマで講演、発表が行われます。普段、あまり勉強することのない分野も学ぶことが出来るのは有意義です。ただ3日間、ずっと学会場だけで過ごすは結構しんどくて疲れます。そこで2日目の午後、時間を見つけて大阪市内を散歩してきました。お散歩のコースは大阪城→通天閣→あべのハルカス。全部上まで登ってきました。やっぱり高い所が好きな僕でした (^_^;

 あべのハルカスは屋上のヘリポートまで行ってきました。丁度、夕暮れ時。瞬きだした街の明かりが綺麗でした。

子どもの自尊心をくすぐるには

3.11 震災から4年が経ちました。テレビでは震災の記憶の風化が懸念されていましたが、自分にとってはまだまだ記憶に新しく、思い出すと今も胸が苦しくなります。

さて、今回は先日参加した東京でのFOUR WINDSのセミナーでの話しから。

 弟や妹が生まれた時、お兄ちゃんお姉ちゃんは少なからず不安定になります。普段から僕はお腹の大きくなったお母さんを見ると、「下の子が生まれて、赤ちゃん返りしたらどうしますか?」と聞くようにしています。「もしおっぱいを飲みたがったらどうする?」と。
 反応は様々。自信を持って「あげます」というお母さんもいれば、「え〜っ!大きい子におっぱいを飲ませるなんてとんでもない」というお母さんもいます。以前にもこのブログで書きましたが、いつも僕はお母さんに「下の子が生まれて赤ちゃん返りしたら、決してお兄ちゃん、お姉ちゃんでなく、大きい赤ちゃんとして扱ってあげて下さいね。」
 上の子が4,5歳の大きいお子さんの場合は「きっと色々お手伝いしてくれると思うから、お母さんは助かるって誉めてくださいね。そうしたら上の子は自分がお母さんの役に立っていると思う、それが役立ち感、自己肯定感、自尊感情に繋がりますよ。とても良い機会です」とお話ししています。

 先日のセミナーで渡辺久子先生がおっしゃったことは「私は上の子にはこういうと良いですよとお話ししています。あなたが私をただの女性からお母さんにしてくれたのよ」と。
多分、子どもには何のことか分からないかも知れません。しかしきっと自分がお母さんの役にたっていると目をキラキラさせることでしょう。

 日本の子ども達は世界で最も自尊感情、自己肯定感が低いそうです。自己肯定感が育つには、まずどんな自分でもお母さんは自分のことを愛してくれているという自信が絶対必要条件です。
 ウィニコットという人が「赤ちゃんがお母さんを見つめるとき、赤ちゃんは二つのものを見ている。自分を見つめるお母さんの瞳と瞳の中に映った自分とを」と言っています。お母さんを見つめる時、自分自身の存在がお母さんを幸せにしていることを赤ちゃんは感じ、そこから最初の自尊感情が生まれます。
 自分に自信を持てないと卑屈になったり、逆に攻撃的になったり、社会に適応する力が弱くなります。そう全ての始まりは親子の心の絆なのです。

僕が"お母さん"から学ぶこと

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 澤田敬先生の講演はこれまで何度も聞きました。弘前に来ていただいたのも今回で4回目。弘前以外での講演もいれると自分は7,8回は聞いているでしょう。今回の講演もテーマは親子の愛着を中心に子どもの心の育ちとあまえ療法のお話でした。いつも聞き慣れた講演でしたが、これまで聞いた中で一番素晴らしい講演でした。様々な事例や最新の知見の紹介も交え、お話は感動的すらありました。聴衆の中には涙ぐむ方もいらっしゃったようです。

 今回の講演の中で僕が特に印象に残ったのは「母から『人間とは何か?生きるとは何か?』を学ぶ姿勢が大切ではないか」という言葉でした。
往々にして問題行動を取る子ども達の背景には保護者、特にお母さんの心の問題が潜んでいることが多くあります。そのお母さんの不安や悩む心と心が響き合って子どもの行動となって現れていることが少なくないのです。しからば子どもの問題行動だけを注目していては片手落ちでお母さんにも寄り添うことが必要です。ただ“言うは易く行うは難し”で我々小児科医が悩みを抱えるお母さんと対峙するのは容易ではありません。僕は澤田先生に図星を指された様に思えました。謙虚な心が大切と、時々不遜になる自分を反省していました。
 ちょっと困ったお母さんほど、このクリニックに来てくれてありがとう。診察させてくれてありがとうと感謝し、お母さんから学ばなければなりません。澤田先生はどんな難しい子どもでも決してあきらめない先生です。いつも子ども達の幸せを願っています。僕はまだまだ先生の足下にも及びません。

FOUR WINDS弘前大会 プレ企画第1弾

 来年秋のFOUR WINDS弘前大会のプレ企画として澤田敬先生の講演会を企画しました。今回の講演会は弘前児童相談所が主催です、澤田敬先生はこのブログでも何度か紹介しましたが、高知で虐待予防にご尽力なさっており、FOUR WINDSの初代会長です。多くの事例を交えた先生の話は朴訥で聞く者を引きつけます。
 実は長崎の童話館の社長さんが同行するという話もあり、社長さんに童話の話しも一緒にと考えていたのですが、残念なことに訃報が入り、それは叶わぬ事となってしまいました。社長さんの絵本の読み聞かせは、それは素晴らしかったと以前学会のワークショップで一緒になったクリニックのスタッフが言っていました。
心からお悔やみ申し上げます。

 さて、澤田先生の講演会。締め切りは過ぎてしまいましたが、まだ空席があるようです。興味のある方は是非ご参加くださいますようお願い申し上げます。

   子どものそだち講演会
〜そだちと愛着形成、里親等の社会的養護〜

日時:平成27年1月11日(日) 午後午前1時30分〜午後4時まで
会場:弘前社会福祉センター 大会議室 (交通公園の隣です)
参加費:無料
対象者:子どもの社会的養護や里親に関心のある方、保育士、幼稚園教諭
    児童福祉施設関係者、医療・保健関係者、里親、
    その他子どもの支援に関わっている方

プログラム
1.行政説明 子どもの社会的養護をめぐる動向について
講師 弘前児童相談所長 久保杉 嘉衛
2.講演 あまえ子育ての勧め 〜施設・里親家族での間主観的(心の響き合い)子育て
講師 NPO法人カンガルーの会理事長 澤田 敬

参加ご希望の方は弘前児相またはクリニックまでご連絡下さい。

発送の展開 ペップキッズ郡山

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このところ余りに忙しい日が続き、ブログを更新できませんでした。2週間ぶりのブログは長文です。ごめんなさい m(__)m

 今年のFOUR WINDS乳幼児精神保健学会は福島県郡山市で開催されました。あの福島第一原発から西へ50kmほどの所にあります。震災復興記念大会として銘打った大会テーマは「“いのち”のときを伝えたい」
学会では様々な立場からの震災からの復興への取り組みが発表されました。
その中で福島では3年前の震災で4つの大きな災害があったと発表されていました。地震と津波、そして原発事故による放射能汚染。後の一つは? それは風評被害。初めの二つは目に見える災害ですが、後の二つは目に見えない災害です。放射能汚染という災害は目に見える災害と同様、その不安感は強く根深く心に刻まれています。そこへ風評被害という災害が追い打ちを掛けています。

 今週の「院長のひとこと」のテーマ、発想の転換は大会で出てきた言葉です。今ある現状を受け止め、次へと歩き出すためには発送の転換が必要だというのです。例えば福島の子ども達は、今はまだ、山や川といった自然の中で遊べません。じゃあそれなら汗をかいて遊べるような屋内施設を作ればいいじゃないか、ということで今回の大会長となった郡山のK先生は「ペップキッズ郡山」という大きな施設を作りました。震災のあった年の12月のことです。彼の情熱が多くの人の心を動かしました。震災後、わずか9ヶ月でそのような施設を作り上げた彼の行動力に脱帽します。

 学会が終わった次の日、その施設を見学してきました。中には走れるほどの大きなトランポリン、砂場では水も使ってどろんこ遊びも出来ます。駆けっこも出来ます。壁だって登れます。ボールプールにおままごとが出来る大きな遊具。そして何よりプレーリーダーという子ども達の遊びを見守る沢山のスタッフがいるのです。決して大人が遊ばせるのではありません。子ども達が自由に遊べるように、そっとサポートするのです。携帯に夢中で子どもを見ていない親には声を掛けます。「あれ?○○ちゃんはどこで遊んでいました?」あるいは「○○ちゃん、楽しそうに遊んでいますね。お母さんもどうですか?」などなど上手に親子関係もサポートしています。決して嫌みのない、その技に脱帽。

 しかし考えてみれば、別に福島でなくとも今、外遊びする子ども達はどんどん減っています。スクリーンには誰一人として子どもの遊んでいない東京の公園が映し出されていました。
学会のサブテーマは「日本の子ども達の真の復興は郡山から」
福島に限ったことではないのです。我々は子ども達が心身ともに健康に育つための環境作りを今一度見直すときにきているのでしょう。
 石油や原子力、あるいは鉄などの鉱物資源、それらを無尽蔵にあると勘違いして消費してきた我々の生活そのものを見直すにはやはり発送の転換が必要なのです。震災は辛い出来事でしたが、それをバネにして、発想を転換し、新しい健康で持続可能な世の中(LOHAS )を作らなければならないのです。

赤ちゃん部屋のお化けと天使

 “赤ちゃん部屋のお化け”という言葉を聞いたことがありますか?シカゴ大学の児童精神科医のセルマ・フライバーグという先生が言った言葉です。子どもの頃、虐待などの辛い過去を持った母親が自分の子と赤ちゃん部屋で二人きりになったとき、表象(自立的に想起される意識あるいは意識下の記憶)として残っている自分の辛い過去が蘇り、言うも言われぬ不安感や、自分も同じように子どもを虐待してしまうのではないかという恐怖感が生まれ、それをお化け(幽霊)と呼んだのです。そのお化けとは目の前の我が子に投影された自分自身の影なのです。そしてフライバーグ先生はカウンセラーの支援により、親から受けた辛い過去を言葉にすることで苦しい感情から解放され、虐待の連鎖を立つことが出来ると述べました。
 そのフライバーグ先生に師事したカリフォルニア大学のアリシア・リーバマンという先生が言った言葉に“赤ちゃん部屋の天使”があります。リーバマン先生はそんなお母さんでも我が子は可愛く、子どもの幸せを願う心がある、それを“赤ちゃん部屋の天使”と呼びました。

 先週の土曜日、FOUR WINDS青森でリーバマン先生の講演のフィルム学習会を開きました。このフィルムは2010年に佐賀で開催されたFOUR WINDSの全国学術集会に先生をお呼びしたときの市民公開講座のフィルムです。タイトルは「子どもと家族に幸せな子育てとは」 その講演を自分は生で聴いたのですが、今回、改めてフィルムを見直して、勉強になることが沢山ありました。様々な子どもの怖れ、愛着のパターン、支援者が心がけることなどなど。子どもの心を中心に5年間勉強してきて初めて分かることが沢山あったのです。参加者アンケートでも沢山の人に見てもらいたいという声が複数ありました。2時間という長いフィルムですが、もし視聴をご希望の方は私までご相談下さい。

赤ちゃんに未来はない

 今年のあまえ研究会は東京の東村山市で開催されました。今日のタイトル「赤ちゃんに未来はない」はその研究会での堀内勁先生の教育講演の中のフレーズです。堀内先生は聖マリアンナ医科大学の名誉教授で、未熟児のカンガルーケアを日本で初めて導入された著名な先生です。カンガルーケアとは生まれたばかりの1000gに満たない未熟児を母親の胸に抱っこさせるのですから結構大変だったろうと思います。とてもダンディーで素敵な先生ですが、気さくで休み時間に目が覚めるよとクロレッツをもらいました。
 講演のタイトルは「親と子の早期のコミュニケーションと心」
「赤ちゃんに未来はない」は赤ちゃんの心の発達のお話に出てきたフレーズです。先生は「未来は過去の経験から生まれる。だからまだ過去のない赤ちゃんには未来はなく、ただ、だだっ広い現在があるだけだ。その現在を豊かに作ってあげることで充実した過去が生まれ、そこから未来が生まれる」と講演されていました。胎動や指しゃぶり、子どものおしゃべりなどの動画をふんだんに取り入れ、分かり易く、人を引きつける素晴らしい講演でした。

 堀内先生には来年、自分がやることになったFOUR WINDS乳幼児精神保健学会・弘前大会で市民公開講座をお願いしました。
今から大会の宣伝しておこうっと (^_-)-☆

 大会は来年10月31日(土)と11月1日(日)。市民公開講座は初日の午前10時から。会場は弘前市民会館です。市民公開講座は無料。その後の学術集会は会費制ですが、渡辺久子先生の基調講演やその他にも教育講演、演題発表、シンポジウムなどを計画しています。学会の対象は子どもの心の発達に関わる全ての職種の方々です。出来るだけ沢山の方が来てくれることを願っています。興味のある方は是非ともご参加されることをよろしくお願い申し上げます。

北東北病児保育室交流会

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 敬老の日の月曜日、盛岡で開催された北東北病児保育室交流会に参加してきました。この交流会は12年前に北東北3県の病児保育室の質の向上を目指して、自分が立ち上げた交流会です。沢山の方々の協力のおかげでこれまで続けてこられました。いつもは裏方に回ることが多いのですが、今年の交流会では自分の出番が多かった。午前中の講演と午後のロバートソンフィルムの通訳(通訳と言っても自分が訳した文章をナレーションに会わせて読み上げるだけですが)。前の日の日曜日も午前中はパパママ教室、午後はFOUR WINDSのフィルム学習会と忙しく過ごしていました。
 さて、その交流会での自分の講演のタイトルは、「北東北病児保育室交流会の12年の歩みと我々の学んだこと」。交流会の歴史とこれからの展望、自分たちが目指す病児保育をお話ししました。そして病児保育事業が究極の育児支援となるためには病児をお預かりするだけでは不十分で、保護者へのホームケアのアドバイス、社会(幼稚園や保育園)への保育看護情報の提供、更には病児保育室を利用した際に気づかれた様々な乳幼児の心の問題が、悪い方向へと進展することのないよう、良い親子関係へと発展するよう介入してゆくことであると結びました。これは僕が考えていることというだけではなく、クリニックとことりの森のスタッフ全員の思いなのです。

 本当は病児保育など必要のない社会の方が良い、病児保育は必要悪だと考えています。だから尚更のこと、ことりの森の存在意義を模索してきたのでした。そしてそれを全国や北東北交流会で発表してきました。ことりの森を開設して12年間、我々が蒔いた種は、果たして芽を出しただろうか。そんなことを考えていました。

全粒子ワクチン

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 日曜日、鹿児島から知人のM先生に来てもらい、津軽ワクチンフォーラムと銘打ち、講演会を開催しました。今週はその講演会で出ていた全粒子ワクチンが見直されているという話題です。
 ワクチンに大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンがあるのはご存じのことと思います。生ワクチンは麻疹や風疹、BCGのワクチンで弱毒化した生きてる病原体を接種するものです。不活化ワクチンとは病原体を不活化し(死滅させ)、その成分を利用してワクチンを作るものです。全粒子ワクチンとは不活化した病原体の全体から作られるものですが、もう一つ、コンポーネントワクチンがあって、それは不活化した病原体の更にその一部分を利用して作られるものです。コンポーネントワクチンは副反応も少なく、安全性が高いとされています。それに比べ全粒子ワクチンは副反応が多いという欠点があります。しかしその分、ワクチンの効果は高い。強い免疫ができてしかもそれが長持ちします。安全性を取るか、有効性を取るかということですが、実はそれだけではなく、コンポーネントでは流行を抑えることができないことがあり、全粒子ワクチンが見直されているという訳です。日本で使用されているワクチンはほとんどコンポーネントワクチンです。副反応に過剰なくらい敏感な日本では、有効性は二の次で(?)、より副反応の少ないワクチンが好まれるのでしょう。

 生ワクチンですが、ロタウイルスのワクチンに2種類あります。一つはロタリックス、もう一つはロタテック。ロタリックスは1種類のロタウイルスから作られているのに対し、ロタテックの方は5種類のロタウイルスから作られています。しかし1種類より5種類の方が良いかというとそういうわけではなく、ロタリックスはいわば全粒子ワクチン。ロタテックはコンポーネントワクチンなのです。ロタテックは牛のロタウイルスに人のロタウイルスの表面の成分をくっつけたもので、その免疫は表面の成分だけの免疫です。ロタリックスは表面だけでなく、核の部分の免疫もできて、その核の部分の免疫が5種類のロタウイルス全てに共通なので、どのロタウイルスにも有効という訳です。ちょっと難しい話になりましたね。当院では両方のロタワクチンを接種できますが、有効性はどちらも同等です。

 もう一つ、おたふく風邪ワクチンの話も書きたいのですが、長くなってしまいましたので、今週はここまで。
 M先生はお土産に鹿児島のお菓子「かるかん」を持ってきてくれました。僕が子どもの頃からあるお菓子です。小学校時代を鹿児島で過ごしたのですが、実は子どもの頃、そんなに好きなお菓子ではありませんでした。しかし今食べてみると、自然薯で作ったお餅は弾力があって、美味しく、懐かしくいただきました。鹿児島へ行ってみたくなりました。なにか学会がないかな〜 (^^ゞ

Well child care

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 恒例の8月末の外来小児科学会。今年、参加したスタッフは6名。今回もそれぞれが様々なセミナー、シンポジウム、ワークショップに別れ、勉強してきました。今日のタイトルのWell child careとは国立成育医療センター総長、五十嵐隆先生の講演の中の言葉です。講演のタイトルは「日本外来小児科学会への期待〜小児プライマリ・ケア分野における役割〜」
 日本は世界でもっとも子育てしやすい国の一つだそうです。それは福祉や教育環境の点でとういことでしょう。しかし子ども達が寂しいと感じている率は他のOECD各国が10%程度であるのに対し、日本は30%と群を抜いて高い値だとか。親と暮らしているのに寂しいと感じるなんて・・・。
Well child careとは健康な子どものケアと言うことですが、この言葉を聞いて僕は我が意を得たりと思いました。自分がいつも考えていること、そのものを表している言葉のように思えたのです。しかもそれが成育医療センターという難しい病気を診ている大病院の院長の言葉なのですから尚更です。五十嵐先生のご専門は小児腎臓病で元東京大学の教授です。一度講演を聴いたことがありますが、専門外の僕でもとても分かりやすい講演でした。そういえば弘前大学の前の小児科教授も晩年、小児保健に力を入れていました。小児保健の重要性は年を取って初めて分かることなのでしょうか。僕自身、若い頃は小児保健のことはあまり気にとめていませんでした。目の前の重症の子ども達のケアで必死でしたから。しかし今、健康な普通の子ども達が心身ともに健康に育つことの難しさを実感しています。しかもそれは年々、困難さを増しているようです。我々外来小児科医の役割とはまさにWell child care。健康な子ども達のケアとその方法を家族に伝えていくことだと考えています。