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八甲田れポート:冬の終わりに

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 良く晴れた日曜日の朝、ボードを持って八甲田へと向かいました。日差しは強く風もなく、まるで4月の春山を思わせる天気でした。このところ暖かい日が続き、当然樹氷は崩れているだろうと思っていましたが、今年の樹氷は大きかったのでしょう、山の上部にはまだ見事な樹氷の森が広がっていました。お出かけや急患診療所の当番で次に山へ行けるのは早くても2週間後。きっと山は様変わりしていることでしょう。4、5月の残雪の春山も好きです。今年は少しずつ足をならして、体力を戻し、怪我をしないように山を楽しもうと思っています。また山の写真を撮れたら大自然レポートをお届けしますね。

病気が治るのに2つの大切なこと

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 敬愛する澤田敬先生が厚生労働大臣賞を受賞されました。土曜日、その祝賀会で東京に行っていました。受賞講演はいつものように朴訥で心に響く講演でした。これまで澤田敬先生は高知で虐待防止のNPO法人「カンガルーの会」を立ち上げ活動されています。先生は虐待はそれを早期に発見するのではなく、虐待が起こらないように予防するべきでそのためには親子の関係性を修復する必要があると言います。それには虐待してしまう親自身の生い立ちからみて行く必要があります。先生は世の中の虐待防止対策はうわべだけのシステム論で物事の本質を観ていないといつも嘆いておられました。
 先生は虐待する親御さんにいつも優しく接しています。どうしてそんなに優しくなれるのか、今回の講演で「それは自分自身の生い立ちにあるのではないか」とお話しになっていました。敬先生のお母様はとても厳しい方で悪いことをすると土蔵に閉じ込め鍵を掛けられたと言っていました。そのガチャンという音がトラウマになっていると。しかし敬先生のお母様はおそらく愛情深い方だったのでしょう。敬先生はそれを虐待とは感じなかったのだと思います。ただそんなお母様でしたから、虐待する母親を見ると自分の母親とダブって見えてしまうのではないかと言っていました。
僕はまだお母さんの態度に苛ついてしまうことがあります。まだまだ敬先生の足下にも及びません。
写真は敬先生に花束を贈呈する赤平です。赤平もまた敬先生を敬愛しています。

 ところでその会場で乳幼児精神保健学会FOUR WINDSの幹事の一人が僕に小学校2年生の息子の話をしてくれました。
微熱で学校を休ませた時、そこ子が話したそうです。
「お母さん、僕、病気が治るのに大事なことが2つあると思うんだ」
「何と何?」
「一つはね、寝ること」
「そうね、ゆっくり休むことは大切よね。もう一つは?」
「それはね、安心すること。僕、お母さんと一緒にいると安心して病気が早く治るような気がするんだ」

その話を聞いて、思わず胸が熱くなりました。
正しくその通りです。
ただ残念なことですが、今はその2つを叶えてあげるのが難しい世の中なのかも知れません。
でもその大切な2つを忘れたくないですよね。

スマホと脳機能

 先週、NHKのクローズアップ現代という番組でスマホと脳機能の話題が取り上げられていました。「最近30〜50代の働き盛りの成人で、物忘れが激しくなったり、意欲の低下、感情鈍麻などの症状がみられる人が増えてきた。その原因としてスマホが原因ではないか」と趣旨の番組でした。つまりスマホからの膨大な情報が絶えず入ってくることにより、それを処理しきれなくなっていると言うのです。「スマホによる脳過労」「オーバーフロー脳」などと呼ぶ脳科学者もいるとか。脳が情報処理するには“ぼんやり”する時間が必要なのだそうです。それが四六時中スマホをみることで脳が疲れ切り、情報がオーバーフローする(脳から溢れる、漏れ出る)ということなのでしょう。脳の過労状態は脳血流量も低下するそうで、その結果、脳機能が低下し、記憶力低下など様々な症状として出てくるということのようです。それから回復するには、スマホやタブレットなどを断ち、自然に親しみ、のんびりと過ごすことなのだそうです。
きっと子どもの脳には、大人以上にその影響が出るでしょうね。

下にテレビに出ていたスマホ依存の行動チェックリストを挙げておきます。皆さんはいくつ当てはまりますか?

 1.スマホはいつも手元にスタンバイ
 2.時間が空いたらスマホを取り出す
 3.疑問が浮かんだら、すぐに検索
 4.覚えておくために「写メ」を撮る
 5.スマホなしでは初めての場所へ行けない
 6.スマホ以外で調べものをしない
 7.いつも時間に追われている
 8.情報に乗り遅れることが怖い
 9.着信音やバイブレーションの空耳が聞こえる
 10.夜、ふとんの中でスマホをやっている

実はこの表を「スマホ」で撮影している僕でした (^_^;

第2回特別支援医教連携セミナー IN 弘前

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 今週の土曜日、青森県武道館で第2回特別支援医教連携セミナー IN 弘前が開催されます。これは以前(昨年の3月)にもこのブログで紹介したセミナーの第2回目になります。昨年は健生病院の加村先生に小児科の講演をお願いしました。今年は誰にしようか迷って、候補は何人かいたのですが、やはり一度は自分が話そうと決めました。
講演のタイトルは「子どもの行動の意味を考える」
 実は昨年の暮れに青森県教育相談研究会から依頼されて講演したのですが、その時のものを少しだけ手直ししてお話しすることにしました。先の研究会は2時間の長い講演でしたが、今回は40分のショートバージョンです。

「全ての事象には意味がある」と考えています。咳の意味、発熱の意味。子どもが泣く意味、泣かない意味。同じように大人にとって子どもの困った行動にもそれなりの意味理由があります。その理解と共感なくして子どもの行動を変えることはできないと思っています。

 昨年は80名を超える参加者がありましたが、今年はまだ60名を少し越えるだけのようです。まだ席に余裕があります。もしご興味のある方はどうぞご参加ください。

申込先:TOSS東北中央事務 黒滝誠人 kurotaki77mktあyahoo.co.jp
上のアドレスの「あ」を「@」に変えて
件名:医教弘前 申込み 
内容 1.氏名 2.メールアドレスまたは電話番号 3.住所 4.勤務先
を添えてお申し込みください。
 

八甲田レポート:樹氷

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先の日曜日、まだ膝や腰は痛くどうしたものかと迷いましたが、久し振りに何の予定もないfreeな日曜日、そして眩しく澄み切った青空に、途中(避難小屋)まででも登ってみようと八甲田へと車を走らせました。山は去年の秋以来ですから、4ヶ月ぶりの山登りでした。

好天に誘われてか予想以上に多くの登山客でした。年配の方も少なくはありません。おそらくこの日、山頂まで登った人は15、6人はいたでしょう。避難小屋まで登った僕も、ここまで来たら上まで登らない訳にはいかないと山頂を目指しました。先日記念病院を受診した際、ご高齢の院長先生が、「スポーツ外傷はほとんどがオーバーワークによるものだ」と言っていたのを思い出しました。確かにその通りでしょう。しかし引き返せない性分なのです。雪山は登るには辛いですが、下りは柔らかい雪で膝への負担は軽いはずです。
途中で歩けなくなったらどうしようと不安はありましたが、予想通りに膝は何とか持ちこたえてくれました。
良かった〜 (^o^)

今年の樹氷は見事でした。山の斜面には大きなスノーモンスター達が立ち並んでしました。山へ来ると心落ち着きます。次はボードを担いで登ろうと決めていました。

インフルエンザの2度罹り その2

 今期、同じA型のインフルエンザに2回罹る子どもがいることが小児科医のMLでも話題になっていました。どうやら今、二つの型のA型インフルエンザが流行しているようです。一つは以前、新型インフルエンザとして問題になったAH1pdm09。もう一つはAH3いわゆるA香港型。同じA型でも多少遺伝子は違うので2回罹ることはあります。さて、どうなのでしょうね。当院で経験した2例も2つの型のA型インフルエンザに罹ったのかも知れません。しかし免疫ができずに同じ型に罹ったのかも知れませんし、それは調べられていなので分かりません。ただ自分自身は抗インフルエンザ薬は使ったことはないし、マスクをしなくてもインフルエンザには滅多に罹りません。何度か罹って免疫が強くなり、罹りにくくはなっているのでしょう。シーズン初めに何となく体が重いのは、発熱や咳は出なくても軽く罹っているのだろうと思っています。そんな時は漢方薬を飲んで、早くに寝ることにしています。


 さて、今期、呼吸障害で積極的な治療が必要な子が数名出ています。新型インフルエンザのパンデミックの時もそうでした。おそらく同じAH1pdm09のインフルエンザに罹って呼吸障害を起こしたのだろうと思っています。ただどの子も診断前に発症から1日以内(第0〜1病日)で合併症を起こしていました。初診時、あるいは翌日インフルエンザの診断確定時に既に呼吸障害がありました。つまり抗インフルエンザ薬を投与する前に既に呼吸困難の症状が出ていたのです。
 インフルエンザはほとんどが安静にしていれば治りますが、やはり稀にある合併症には注意が必要です。そしてそれは抗インフルエンザ薬を使用すれば防げるものではないと考えています。

インフルエンザ=抗インフルエンザ薬はやはりおかしいです。


それにしても昨今、患者さんも園・学校・会社も加えて医療機関も、検査キットに振り回されていると思いませんか?

インフルエンザの2度罹り

連日のようにインフルエンザに関するニュースが報道されていますが、青森県の流行も警報レベルに達したようです。津軽地域も今週に入り急に増加してきました。しかし今のところ当院では重症例はなく、苦しそうにしている子どももそう多くはありません。

今シーズン、A型インフルエンザの2度罹りを2例経験しました。これまでも1シーズンでAとBの両方に罹る子はいたのですが、同じA 型に2回罹った子はそうはいませんでした。理由として二つ考えられます。一つは違うタイプのA型に罹った。二つ目は二人とも抗インフルエンザ薬を使用したので、インフルエンザに対する免疫の獲得が不十分で2回罹ってしまった。
ゾフルーザはウイルスが増殖するのを抑えます。ということは体の免疫応答、抗体の産生も弱いのではないかと思うのです。以前、タミフルでも使用すると免疫の獲得が不十分となるという報告がありました。タミフルは感染した細胞からウイルスが飛び出すのを抑える薬剤ですから、ウイルス量そのものはそれなりにあるはずです。それがゾフルーザではウイルスの増殖を抑えるのでウイルス量は更に少なくなります。当然免疫応答も弱くなるのではないかと思うのです。
(まだ報告は出ていませんが・・・)

罹ったら自力で治して、あるいは漢方薬で免疫能を高め、自分自身の抵抗力を高めるのが良いのではないかと思っていますが、賛同してくれる人は多くはありません。僕がマスクをしなくてもインフルエンザに罹らないのは、何度か罹ってしっかり免疫ができているからなのですが、それを話しても納得してくれる人は少ないです。毎年シーズン初めに何となく体が重くなるのは、インフルエンザに感染して、発症しなくても体の中で免疫君が戦っているからかな〜なんて思っています。そんな時は激しい運動もお酒も控えています。


先ずは普段から規則正しい生活と睡眠をしっかり取って、インフルエンザに負けない体力を付けましょうね。

2種類のハグ

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新年のご挨拶を書かないまま、松の内もとうに過ぎてしまいました。これが今年最初の「院長のひとこと」です。

今年は元旦からクリニックの除雪していない駐車場に無理矢理入り、車を亀の子状態にしてしまって脱出するのに一苦労。帰省して遊びに来ていた孫をあやそうとひねって腰を痛め、20年間毎年行っていたニセコ行きを断念したりと、新年早々トラブル続きでした。
今年は意識改革し、できないことは無理しない、できることだけ頑張ろうと思っています。そして弱った体を鍛え直そうと新年の誓いを立てました。(ついついオーバーワークになる自分を反省しています)

さて、新年最初の話題はハグ。年末に、当院に来てくれている心理士さんから聞いた話です。ハグに2種類ある。それは子どもが不安を感じた時、「大丈夫、大丈夫」と抱きしめるハグと、子どもを「愛おしい」とギューッとするハグ。どちらも大事。その親子にどちらが足りないかを見極め、足りない部分をサポートする事が大切と言うのですが、なかなか難しいですね。

正月、しばらく我が家で過ごしていた孫達は大分“じいじ”にも慣れ、泣かずにハグさせてくれました。腰は痛いですが、孫達の笑顔に心は幸せでした。

それでは皆様、本年もHP、クリニック共々ご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

伝えたいこと

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 今週水曜日の午前を休診にして青森県教育相談研究会で講演をしてきました。タイトルは「子どもの行動の陰に潜むもの〜子どもの心に寄り添って〜」
子どもの心の発達と愛着形成、愛着障害と発達障害、加えて子どもの問題行動への対応についてお話ししました。
講演の冒頭に「全ての事象には意味がある」と話し始めました。咳の意味、熱の意味、全ての物事には意味があります。同様に子ども達の様々な問題行動にもそれぞれに意味があります。発達障害の特性から来る行動もありますし、ストレスから来る心のサインもあります。それぞれに対応は異なります。先ずはその行動の意味を考えることが大切だと思っています。

 しかしそもそも大人は何故子どもの行動を問題と感じ、困ったり苛ついたりするのか?
三つの子ども像があります。1つ目は理想の子ども像、2つ目は自身が子どもであった時の自分の像、3つ目は現実の目の前にいる子どもの像。1や2が3と大きく異なると困った行動と感じます。しかしそこにはその行動の意味が考慮されてはいません。元々感情の話しなのですから無理はありません。しかし自分自身にそういう感情があることを理解して、その上で子どもの行動の意味を知り、適切な対応をとることが望ましいと考えています。つまり内省するところから始まるのです。

 自分が医療を出来る残された時間を考えています。そして自分が学んだことを次の世代に伝える必要があると考えています。そんな訳で皆様には多大なご迷惑をお掛けしましたが、敢えて休診にさせていただきました。謹んでお詫び申し上げます。


 写真は連休の初日に出掛けた八甲田。まだ膝は回復しておらずロープウェイで上がりました。ボードは大丈夫のようでした (^_^)v

 2018年の院長のひとことはこれが最後です。忙しくて更新できない週もありましたが、それなりに頑張ってきました。来年も出来る範囲で更新したいと思います。

それでは皆様、よい年をお迎えください。

『ない』ことの証明

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 今年のノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑先生がノーベル賞受決定後の初公演で、子宮頸がんワクチン問題について取り上げ、現在の「日本は国際的に見ても恥ずかしい状況」とコメントしたそうです。「科学では『ない』ということは証明できない。『ある』ものが証明できないことはない。『証明できない』ということは科学的に見れば、子宮頸がんワクチンが危険だとは言えないという意味だ」と述べ、「なぜこれを報道しないのか」「ルワンダなど(リソースの少ない国)でもワクチンを導入して子宮頸がんが減っている」「このことに関してマスコミの責任は大きいと思う」と述べられたそうです。
 先生は厚労大臣を訪問し、子宮頸がんワクチンの積極的接種再開の要請を行ったそうで、以前から医療経済やQOLの観点からワクチンを初めとする予防医療の重要性を繰り返し訴えていたと医学系のネットニュースに出ていました。現在の日本の状況を憂いておられるのでしょう。

 世界中で子宮頸がんが減少している中、日本だけが増加しているそうです。もし仮に神経症状のように見える副反応が子宮頸がんワクチンが原因だったとしても、その発生率は極めて低く、子宮頸がんに罹患するリスクとは比較にならないものです。自分の娘には接種しましたし、当院のスタッフも皆、自分の娘に接種しています。感情的なワクチン忌避論に左右されることなく、自分の判断で接種していただくことを願っています。

そう言えば、満員電車で痴漢と間違われ、無実を晴らすのに大変な思いをした話がテレビで出ていました。これも似たようなものでしょう。外来診療でも同じです。『ない』ことの証明はとても困難なのです。

 写真は二の丸辰巳櫓です。冬の弘前公園も良いですね。
やっぱりスマホのカメラは画質がいまいちですね。カメラを持って行けば良かった。
(^_^;