レスパイト

院長のつれづれ

 先の連休、盛岡で開催された全国病児保育研究大会に参加してきました。レスパイトとはその研究大会のO会長の話に出てきた単語です。小休止という意味ですが、主に介護の分野で使われる言葉です。患者さんを一時的に入院させ、介護に疲れた家族に休息を取って貰うことで、むしろそれがより良い介護に繋がります。O先生はそのレスパイトを病児保育に当てはめ、子どもの看病に疲れたお母さんを病児保育で預かって、レスパイトさせるというのです。病児保育は素晴らしい子育て支援制度で、我々はこの事業を更に推し進めるべきと言っていました。しかし僕はちょっと違和感を感じていました。僕は病児保育の前に必要な施策があるのではないかと考えています。

 全国病児保育協議会にはことりの森開設時に大変お世話になりました。その恩もあって、協議会の活動には随分と協力してきました。しかし最近、僕の考える病児保育は協議会のそれと少しずれてきているのを感じています。O先生は講演で子どもが病気の時は病児保育室に預けてレスパイトし、子どもが元気になったら親子で一緒に遊びましょう、それがベストと言っていました。もちろん一緒に遊ぶのは良いのですが、可能であれば養育者が看病して、そして子どもが回復したら一緒にそれを喜ぶことで愛着は強くなると思うのです。しかし様々な事情でどうしても看病できないこともあり、それをサポートするのが病児保育事業だと思うのです。自由に看護休暇を取れない今の世の中の方がおかしいのではないでしょうか。国は病児保育事業を推し進めようとしています。しかしその前に僕はお父さんお母さんが安心して子どもを看病できる世の中になることを願っています。

 写真は研究大会の昼休みの企画で、弦楽四重奏のミニコンサートです。パイプオルガンのある素敵なホールでの、新日本フィルハーモニーの方の演奏は、心に染み入る素晴らしいものでした。

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