全粒子ワクチン

講演・学会・検診

 日曜日、鹿児島から知人のM先生に来てもらい、津軽ワクチンフォーラムと銘打ち、講演会を開催しました。今週はその講演会で出ていた全粒子ワクチンが見直されているという話題です。
 ワクチンに大きく分けて生ワクチンと不活化ワクチンがあるのはご存じのことと思います。生ワクチンは麻疹や風疹、BCGのワクチンで弱毒化した生きてる病原体を接種するものです。不活化ワクチンとは病原体を不活化し(死滅させ)、その成分を利用してワクチンを作るものです。全粒子ワクチンとは不活化した病原体の全体から作られるものですが、もう一つ、コンポーネントワクチンがあって、それは不活化した病原体の更にその一部分を利用して作られるものです。コンポーネントワクチンは副反応も少なく、安全性が高いとされています。それに比べ全粒子ワクチンは副反応が多いという欠点があります。しかしその分、ワクチンの効果は高い。強い免疫ができてしかもそれが長持ちします。安全性を取るか、有効性を取るかということですが、実はそれだけではなく、コンポーネントでは流行を抑えることができないことがあり、全粒子ワクチンが見直されているという訳です。日本で使用されているワクチンはほとんどコンポーネントワクチンです。副反応に過剰なくらい敏感な日本では、有効性は二の次で(?)、より副反応の少ないワクチンが好まれるのでしょう。

 生ワクチンですが、ロタウイルスのワクチンに2種類あります。一つはロタリックス、もう一つはロタテック。ロタリックスは1種類のロタウイルスから作られているのに対し、ロタテックの方は5種類のロタウイルスから作られています。しかし1種類より5種類の方が良いかというとそういうわけではなく、ロタリックスはいわば全粒子ワクチン。ロタテックはコンポーネントワクチンなのです。ロタテックは牛のロタウイルスに人のロタウイルスの表面の成分をくっつけたもので、その免疫は表面の成分だけの免疫です。ロタリックスは表面だけでなく、核の部分の免疫もできて、その核の部分の免疫が5種類のロタウイルス全てに共通なので、どのロタウイルスにも有効という訳です。ちょっと難しい話になりましたね。当院では両方のロタワクチンを接種できますが、有効性はどちらも同等です。

 もう一つ、おたふく風邪ワクチンの話も書きたいのですが、長くなってしまいましたので、今週はここまで。
 M先生はお土産に鹿児島のお菓子「かるかん」を持ってきてくれました。僕が子どもの頃からあるお菓子です。小学校時代を鹿児島で過ごしたのですが、実は子どもの頃、そんなに好きなお菓子ではありませんでした。しかし今食べてみると、自然薯で作ったお餅は弾力があって、美味しく、懐かしくいただきました。鹿児島へ行ってみたくなりました。なにか学会がないかな? (^^ゞ

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