八甲田レポート:慣れと油断

院長の大自然レポート

 日曜日、函館の小児科の先生を案内し八甲田を登ってきました。生憎の天候で、酸ヶ湯へ向かう途中の沖揚平では吹雪いて何度も視界0となり、10年前にここで事故ったことを思い出しました。その時も視界0で突然現れた立ち往生している車に追突してしまいました。

 山も視界が悪く、風と雪でゴーグルを付けての登山でした。当然誰も登山者はおらずトレース(踏み跡)はありませんでした。しかしそれはそれで誰も歩いた後のない雪の上を自分の足跡を残しながら歩くのは楽しいものです。途中から一般ルートを外れ、沢筋ではなく直登することにしました。雪のアオモリトドマツの林を見せてあげたかったのです。今年の樹氷は本当に大きく育ったのでしょう。山の上の方ではまだ立派な樹氷が残っていました。残念ながら強風と凍った斜面に安全を考え、頂上直下で引き返すことにしました。

 トラブルはその後でした。登りのルートファインディングは高いところを目指せばそのうち頂上に着きます。難しいのは下りです。視界が悪い時はコンパスで方向を取って降りなくてはなりません。しかし僕はこれまで何度か来たことのあるルートだから、少しは見えているし、と油断してしまいました。安全を考え、降りやすい方、降りやすい方と斜面を選ぶうち方角を間違い、大きくルートから外れてしまいました。挙げ句の果てに自分がどこにいるか分からなくなってしまったのです。幸い連れの先生の携帯のGPSで自分がどこにいるかが判明し、なんとか無事に下山することができました。案内するはずが、逆に案内して貰った訳で、全く恥ずかしい限りです。いくら慣れていても初心忘れるべからずべからず、油断大敵と学びました。

 何事もそうですよね。基本が大切です。

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