子どもとコロナ4

クリニックエピソード

 弘前管内ではコロナの患者は連日100人前後の数が報告されています。以前は少なかった小児の患者も増えてきました。子どもが園や学校、児童館などの集団から新型コロナをもらって発症し、家族に移すというケースも増えてきました。

 先日、NHKの番組でNHKの職員のお子さんが新型コロナに罹ったときのことを報道していました。比較的大きな小学生のお子さんでした。家庭内感染を防ぐため、子ども部屋に隔離し、食事も一人で摂らせ、寝るときも家族全員がマスク着用。子どもがトイレを使う度に消毒。子どもが不安にならないようにとタブレット端末でカメラを繋いで通話するのは良いのですが、やはり子どもはかなり寂しくなったようです。その放送を観て、子どもが可哀想でなりませんでした。そこまで徹底して家族内感染を防ぐべきものなのでしょうか。もちろん幼児ではその対応は無理ですし、小学生でも心理的な負担は大きいでしょう。

 自分も既に40人以上の患者を診断し、小児におけるオミクロン株の様子が大分分かってきました。確かに感染力は強く、子どもから子どもへの感染も増えています。しかし小児、特に基礎疾患のない健康な子どもにとってオミクロン株は風邪と同等です。むしろインフルエンザや小さい子のRSウイルスの方が遥かに重症化する可能性が高いのです。健康な成人でワクチンを2回以上接種してある方も同様に軽症で済むようです。

自分には実際の疾患の重症度と行政や医療機関の対応とが乖離しているように思えます。

 現在当院では、疑いのある子は車に乗ったままで検査し、もし陽性に出れば、雪の降る中を車まで行って冷え切った聴診器を当てて診察していますが、その対応は本当に必要でしょうか・・・。自分の過剰な対応も一般の方の不安を煽っているのではないかとも考えたりします。
今の対応に僕だけでなく疑問を感じている小児科医は少なくないようです。

 我々が取るべき対応は、希に重症化する可能性のある高齢者や基礎疾患のある方を出来るだけ早くに予防接種することです。子どもに対しては普通の風邪と同じ対応で良いのではないかとも思います。しかし今の法律ではもし自分が罹ると症状が軽微でも10日間は休診になります。親御さんもそうでしょう。実際の症状よりも社会的なダメージの方が大きいのです。従って今は自分も罹るわけにいきません。
 保育園児にマスクをさせて園のクラスターを防ぐことが出来るとは到底思えません。様々な矛盾のしわ寄せを子どもに押しつけているのかも知れないと思ったりします。乳幼児が重症化するRSウイルスの流行の時はそんな話しは出てきませんでした。
口封じという言葉を思い出しました (^_^;

 同じ新型コロナウイスルですが、デルタ株とオミクロン株とでは大分違います。別物と考えた方が良いのではないでしょうか。コロナウイルスはこれからも変異するでしょう。しかし対応もそれぞれに合わせて変えれば良いだけだと思うのですが如何でしょうか?

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