小児の感冒診療の問題点

講演・学会・検診

 つがる小児科医の会という団体を3年前に立ち上げ、自分が幹事となって地域の小児科医のレベル向上を目的に年に3、4回の講演会を企画していました。先週の土曜日、大阪から西村先生をお呼びし、「小児の感冒診療の問題点、プライマリ・ケアを考え直そう」というタイトルの講演を行っていただきました。彼は僕より一回り年下の若い小児科医ですが、学会でも積極的に発言し、オピニオン・リーダー的な存在です。
 さて、その風邪の診療の講演ですが、風邪に抗生剤は無効、むしろアレルギーを増やすなど有害・・・(これはもう当たり前)。咳止めは反って風邪の治りを悪くする・・・(なるほどなるほど)。ペリアクチンなどの抗ヒスタミン剤は眠気などの副作用があるばかりで反って有害・・・(大賛成)。気管支炎では咳をして痰を出すとき気管支を収縮させる必要があるので気管支拡張剤は有害・・・(そういう考え方もありかも)。
 西村先生は小児科医のMLで風邪薬撲滅運動を推進しています。基本的に風邪は安静にしているだけで治る。我々小児科医のなすべき事は風邪に薬を出すことではない。安静にしていれば治ると教えることだと講演していました。そしてその姿勢を全ての小児科医が共有することだと。

 先日、あるお父さんに言われました。「先生の出す薬は弱い薬ですか」と。「そうではありません。必要のない薬を出さないだけです」と返しましたが、さて、理解していただけたでしょうか。「薬をたくさん出した方が満足するのかなぁ」とちょっと残念でした。

写真は秋の南八甲田、黄瀬沼です。

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