山岳遭難事故

院長のつれづれ

 先日の高校生のいたましい山の遭難事故。高校生の山の大きな事故はこれまでも何度か起こっています。自分が北アルプスを登っているとき、すぐ側で神奈川の高校生が吹雪の中を迷って遭難しました。岩木山でも半世紀ほど前ですが、やはり吹雪でルートを見失い、4名の高校生が命を落としました。頂上直下にある鳳鳴ヒュッテはそれを追悼して建てられたものです。
 自分自身でも事故は幾つか経験しています。雪庇が崩れ、雪の塊と共に落ちていった後輩の姿が今でも目に焼き付いています。幸い助かりましたが、仲間を死なせてしまったと焦りました。滝谷(穂高の岩登りエリアの一つ)で先輩の落石事故を対岸から見ていました。実際に滑落して命を落とした後輩もいます。山とはそういう所です。山家(やまや)はそれを分かっているので、山の事故は皆、自己責任と覚えています。

 しかし高校生の事故はそれとは少し違うでしょう。彼らは山の本当をまだ知りません。テレビで今回の事故を人災と言っている登山家を見ました。確かにそうかも知れません。しかし自然相手のスポーツです。雪崩の予測は容易ではありません。予測不能なことも起こりえます。だから僕はお互いが自己責任と了解している山仲間でなければ一緒に山を登れないと思っています。

  昨今の中高年の登山ブーム。ツアーを利用して集団で山を登る人達はそれを分かっているだろうかと疑問に思っています。

ともあれ、山に失われた若い命のご冥福をお祈りいたします。
合掌

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