明治神宮の森

院長のつれづれ

 以前テレビで明治神宮の森は人が作った天然林だという番組を観て、いつかその森を歩いてみたいと思っていました。しかし東京へはよく行くのですが、時間に余裕がなく、都心にあってもこれまで一度も行ったことがありませんでした。先週、孫息子の1歳の誕生日のお祝いで上京した次の日の日曜日、奥さんと二人でその森を歩いてみました。森は明治神宮の鎮守の森として作られました。作られたのは今から90年前。当初から100年後を見据えて作られたのだそうです。つまり100年の時を掛け、それが自然林になることを想定して植樹されたのだそうです。天然林では森は自ら世代交代を繰り返し、人が手を加えなくても豊かに維持されます。明治神宮の森は現在ほぼ天然林相に近づいているそうですが、「それが本当かどうかは千年、万年という単位で見守らなければ分からない。そういう意味でこの森は興味の尽きない、見守って生きた森の一つです」と科学者は述べています。

 実は自分は高校生の頃、大学で生態学を研究しようと考えていました。図らずも医者になってしまいましたが、今でも森や野鳥、自然が好きです。大学で山岳部に入ったのも自然に触れ合いたいという気持ちからでした。医者になったことを後悔はしていませんが、もし生物学の道に進んでいればまた違った人生があったのだろうと楽しく想像したりもします。
 娘のマンションの窓から見る景色はコンクリートの建物ばかり。とても自分はそこで暮らせませんが、人も生き物、自然の中でこそ豊かに育つと思うのです。娘には必ず1年に何度か弘前に帰ってきて子ども達を自然の中で遊ばせることを約束させました。

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