未知の悪魔と既知の悪魔

講演・学会・検診

 

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 胸の傷も癒え、久し振りに山へ行きたかったのですが、興味深いセミナーがあり、日曜日の午前中はクリニックで過ごしていました。トロントのキャスパース・チュータズ先生の講演でした。先生は今はカナダのトロントの大学の精神科医ですが、元々は東ヨーロッパのラトビア出身で、第2次世界大戦時、ロシアの侵略から逃れ、海を渡った経験を持っています。難民キャンプで過ごした経験もあり、それらの記憶はトラウマとして残り、成人してから精神分析を受けることになったと語っていました。講演は今のウクライナの現状と合わせ、戦争を生きる子ども達をどう支援するかという内容でした。タイトルはその講演の中で出てきたフレーズです。

 家庭が困難な状況にあるとき、親は往々にして子どもを守ろうと、それを隠そうとします。しかし隠していても不安は常にあり、それはお化けとなって子どもを襲います。子ども時代のお化けは大人の10倍も大きいのです。一方、辛いことを正直に子どもにも理解できる言葉で伝えることは、その困難に立ち向かう勇気を育てます。

 話しは少し違いますが、よく予防接種で連れてくるのに注射はしないと嘘をついて、連れてくる親御さんがいます。教えると暴れて連れてくるのが大変だからと。しかし診察室で初めて注射だと知された子どもは裏切られた思いに囚われ、注射の後もそれを引きずり、玄関を出ても尚、泣き叫ぶ子どもの声が聞こえて来ることがよくあります。よほど悔しかったのでしょう。

例え乳幼児であっても、子どもの人格を尊重し、真実を伝える事が大切です。

小学校は未だにコロナの公表をしていません。対応を間違えています。教育者なのに (-_-)

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