肩こり

院長のつれづれ

 肩こりの辛さをたまに聞きますが、自分はこれまでほとんど経験したことがなく、それがどれほど辛いものかは分かりませんでした。ところが年末の大掃除で無理な姿勢で台所のレンジフードを掃除したためか、翌日から酷い肩こりに悩まされています。机でカルテを書くのも、予防接種をするのも辛いです。肩が辛く、頭まで痛くなりました。流石に耐えられず、下の内科で筋弛緩剤を処方してもらいました。お陰で少しは楽になりましたが、副作用でめまいと口渇があります。しかしまあ許容範囲なので、肩の痛みと天秤に掛けて、副作用は我慢することにしました。

 以前、イギリスでの学会から帰国した後、時差ぼけで不眠症となり、1週間眠れなかったことがありました。その時、初めて不眠症の辛さが分かりました。

 他者の痛みは分かりにくいものです。人は誰しも自分が経験したことがないことを、それがどんなに辛いかを本当に理解するのは困難です。経験して初めて他者の痛みが真に分かるのでしょう。

 学校に行けない子ども達、苛立ちから暴力を振るってしまう子ども達、本当は皆と同じにやりたいのにそれが出来ない子ども達、そんな子ども達の心の痛みを本当に理解するのは困難なことです。しかし誰しも少しは同じ思いをしてきたはずです。共感性とは自分の心の中の、ほんの小さな同じ気持ちを探し出し、増幅し、他者の痛みを自分の痛みとして感じることなのでしょうね。

 今年の年賀状に、「千の風になって」の歌詞が今心に刺さると書きました。1年前に父が他界し、ようやくこの歌詞の意味が本当に分かった思いがしたのです。「私のお墓の前で泣かないでください。そこに私はいません。眠ってなんかいません」。年賀状を書きながら、自分も風のように吹き渡り、子ども達に寄り添いたいと思う年の瀬でした。

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