今週はインフルエンザワクチンの話題です。(ちょっと長文です)
この季節、医療機関ではインフルエンザワクチンの接種で忙しい日々が続きます。今のインフルエンザワクチンはA型2種類、B型1種類の3種類のインフルエンザワクチンが混合された3価のワクチンで、その年に流行する型の予想が外れることは少ないようです。しかしそれでも乳幼児への有効性は低いと以前から言われていました。
日本のワクチンは不活化ワクチン(病原性、感染性をなくしたもの)ですが、スプリットワクチンといって、インフルエンザウイルスを不活化したものを更にスプリット(分離、分裂)させたものから作られています。その結果、安全性は高いのですが、有効性が低くなってしまいました。特に乳幼児には低いのです。
このワクチンは既にあるインフルエンザの免疫を強くすることは出来るが、新しく作る力は弱いのだそうです。つまり過去にインフルエンザに罹ったかことがあり、基礎免疫のある人には有効だが、罹ったことのない乳幼児には効かないということでしょうか。
難しいですが、下をご覧下さい。
小児科医のMLで教えてもらいました。
http://www.ifrec.osaka-u.ac.jp/jpn/research/2010/04/2010-0404-sciencetm.php
ただ、インフルエンザに罹ったことはないが、前の年にインフルエンザワクチンをやってあると、少しは有効という話しはありますし、インフルエンザに罹った時、発熱しても熱に負けていない子が多いようにも思います。乳児へのインフルエンザワクチンはやらないよりやった方が少しは良いかもという程度かも知れません。
これに対し、海外の不活化ワクチンは全粒子ワクチンと呼ばれ、“分裂”させておらず、日本の不活化ワクチンより効果は良いようです。
海外では鼻に噴霧する生ワクチンもあって、これは注射でないので痛くありません。効果も良いようです。しかし日本ではまだ認可されていません。生ワクチンですので、それなりの副反応もあるのではないでしょうか。
個人輸入で接種されている先生はいらっしゃいますが、認可されたワクチンではないので、万が一、事故のあったときの補償に問題があります。
本当かどうか分かりませんが、
日本のインフルエンザワクチンを開発する際、担当者が上から
「とにかく安全なワクチンを作れ」と言われ
「そしたらただの水になってしまいます」と反論したところ
「それでも良いから安全なものを作れ」と言われたとか。
この話しを聞いてから、
何だか毎年、必死でインフルエンザワクチンを接種するのが虚しく思えてしまいました。