ソーシャル・スキル・トレーニング(SST):認知行動療法の一つですが、自閉症スペクトラムなどの発達障害のある子ども達にとって、今の世の中は生きにくいことばかりです。SSTとはそんな子ども達に世の中を生きる術を学ばせるのですが、大切なことはその子の特性を治すわけではないということです。
先週21日春分の日、青森市で開催された発達障害者支援フォーラムに参加してきました。基調講演は宇都宮大学の梅永雄二先生。講演のタイトルは「発達障害児の自立をめざした子育て、教育 ?大人になって幸せに生きるために?」
梅永先生は確か2、3年前にも青森で公演されたことがありました。とても話し上手で、講演の内容も素晴らしかったです。発達障害の子ども達の特性はトレーニングで治るとかそういう類の物ではない。周囲が理解し、その子にあった学習の方法を考える必要がある。SSTのあり方も再検討しなければならない。先生の著書「大人のアスペルガー症候群」の協同著者である佐々木正美先生が梅永先生に電話で、SSTを学ばなければならないのは会社の方であると話されていたそうです。それを聞いて正にその通りだと頷きました。社会全体が彼らを理解し、上手に付き合っていくことが求められているのです。彼らに上手に他人とコミュニケーションを取る術を身に付けろというのは、全盲の方に新聞を読めと言うのと同じこと。感覚や思考回路が違うのを自分等と違うからといって、それを異常と決めつけるのは間違いです。「みんなちがって、みんないい」のです。それぞれの個性を尊重すべきです。ただ、彼らが世の中で生きていくのが大変なように、我々が彼らを理解するのも簡単ではありません。お互いに誤解が生じやすいのです。だから我々も彼らのことを学ぶ必要があるのです。