皆さんも“くる病”という病名を聞いたことがあると思います。5月中旬に札幌で開催された日本小児科学会でそのくる病がシンポジウムの一つで取り上げられていました。くる病はカルシウムの骨への沈着が障害されておこる病気です。くる病の赤ちゃんでは頭の骨が柔らかくなり、幼児では高度のO脚をきたします。大人では骨軟化症。原因として多いのはビタミンD欠乏。これまでは稀と考えられていましたが、最近それが問題になってきているようです。
ビタミンとは体に不可欠な栄養素です。多くのビタミンをヒトは自分で作ることができませんが、このビタミンDは自分自身で作ることができます。皮膚で紫外線の力でコレステロールから合成されるのです。またビタミンDはキノコ、魚類からも摂取することができますが、必要量の80?90%は皮膚で合成されるのだそうです。しかし近年、紫外線の有害な面が指摘され、それに反応し過度に日焼け予防をしてしまうと必然的にビタミンDが欠乏してしまいます。
また、母乳に含まれるビタミンDはごく微量です。母乳栄養児でしかも魚のアレルギーがあり、冬の東北地方日本海側、あるいは極端な紫外線対策はくる病を起こしやすくなるのです。
最近、ビタミンDの免疫に対する働きも色々と調べられているようです。インフルエンザの予防や癌予防、自己免疫疾患、アレルギー疾患の予防、あるいはアトピー性皮膚炎への治療効果も言われています。
乳児のビタミンD不足はくる病だけでなく、将来の様々な病気を引き起こしてくる可能性もあります。適度な日光浴は必要のようです。赤ちゃんにビタミンD補充が勧告されている国もあるとか。最近は日本でも赤ちゃん用のサプリメントとして市販されているようです。
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写真は札幌に住む旧友Yと一緒に行ったビール園で。ジンギスカンもビールも最高に美味しかったですよ (^_^)v