日曜日、渡辺久子先生によるロバートソンフィルムのセミナーに参加してきました。ロバートソンフィルムは愛着理論を確立したボウルビィの弟子のロバートソン夫妻によって、1950年代にイギリスで撮影された子どもの発達心理行動研究のためのフィルムです。そこには2歳前後の子どもが次子の出産のため母親と離され、里親や乳児院に預けられ、「自分に何が起こっているか分からない」戸惑いや不安が克明に記録されています。世界中の子どもの心のケアに関わる人たちがこのフィルムを繰り返し何度も視聴し学んでいます。母子分離をテーマにした全5巻の白黒フィルムですが、今もそのフィルムから多くのことを学ぶことが出来ます。
今回のフィルムは「Jane」、17ヶ月の女子でした。Janeは暖かい家庭で育てられました。ただ父親は規律正しく育てようとしました。母が入院し里親に預けられたJaneは初めの数日、快活で機嫌良く、むしろちょっと大げさに笑っていました。その笑いは少し不自然に見えました。そして里親のロバートソンさんがわざと姿を隠すと、Janeはご近所だった自分の家の庭のドアを開けようとします。そのJaneの仕草はちょっと後ろめたそうに見えました。Janeの笑顔は毎日変わります。4日目ようやくJaneは泣き出します。イヤイヤをします。やっと素直な自分を出せたのです。久子先生は、泣かずに過ごす3日間を善し悪しは別にしてJaneのdefense力の高さだと言っていました。ロバートソンフィルムの他のどの子も、母親と分離された数日間に表情や仕草が激しく変わります。その対応を間違えるとそれは大きな心の傷となり、その後の人生にも影響するのです。
第一次反抗期とも言われる2歳前後は最も不安定な時期です。なんでも自分でやりたがるかと思えば親に激しく甘えてきます。子どもの対応に難儀するお母さんも多いかと思います。この時期は親に嫌われるのではないかという不安の強い時期でもあります。そんな時期の突然の母子分離が子どもに大きな影響を及ぼすことは当然のことなのです。久子先生は保育園に預けるのならそれより早いかもっと遅い時期にするべきだと言っています。お子さんを保育園に預ける方も多いかと思いますが、ちょっと心に留めておいてくださいね。
写真は貿易センタービルからみた東京タワー。スマホで撮ったのでこれが限界です。展望台には大きなカメラを抱えたヒトが沢山集まっていました。