一日保育体験

講演・学会・検診

 今年の日本乳幼児精神保健学会での市民公開講座は松居和さんの「ママがいい!」でした。松居和さんはフルート奏者として米国の数々の映画に参加された方です。「ママがいい」とは毎年の慣らし保育の時に繰り返される、幼児達の悲鳴です。

松居さんは50年も前にアメリカに渡り、子ども達の現状に驚いたそうです。そこには虐待や近親相姦。未婚の母から生まれる子が3割を超え、離婚率を考えると実の両親に育てられる子どもの方が少数という米国社会がありました。そしてそれは将来の日本の姿ではないかと憂い、日本の保育政策に強烈なメッセージを送り続けています。

 今の日本の保育政策では母子分離に拍車を掛けることになる。乳幼児の扱いが国中で粗雑になっていると主張します。経済優先に沿った保育政策ではなく、子ども優先の保育が行われなければこの国は崩壊するとまで言います。保育の質を確保する政策が必要。今のままでは保育事業はただのビジネスになりさがり、心ある良い保育士は苦しくなり辞めて行く。子育てすることで親も育つ、保育園は親をも育てる必要がある。子育てを幸せと思える社会を取り戻すことが必要と。

 このブログのタイトルの一日保育体験とは母親や父親が丸一日、保育園で保育を体験することです。保育園に親が来ると子どもは驚くほど喜びます。子どもが喜ぶことに気付いた父親は親としての自信を取り戻し、父親としての自覚が生まれる。そして親子の絆が深まる。ズボンを腰まで下げて悪ぶっていた高校生が、3歳児に「ズボンはこうやってはくんだよ」と教えられ、慌ててズボンを上げる。子どもにはそんな力があるのだと力説していました。慣らし保育で「ママがいい!」と叫ばれた母親は、自分がいい親だったから叫ばれたことを憶えていてほしい。それは勲章だったのだ。等々・・・。90分があっという間に短く感じられた講演でした。

一日保育体験、良いかも知れません。知り合いの園長に提案してみるつもりです。

昔、自分が娘の保育参観に行ったとき、二日酔いで具合が悪く、娘と遊んであげられませんでした。苦い思い出です。

 

写真は小田原城。学会のあった浜松から新幹線で帰るとき、途中下車して少しだけ観光してきました。お城そのものは鉄筋の新しく建てられたものですが、石垣は昔のままで、白壁の塀も素敵なお城でした。

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