澤田敬先生の講演はこれまで何度も聞きました。弘前に来ていただいたのも今回で4回目。弘前以外での講演もいれると自分は7,8回は聞いているでしょう。今回の講演もテーマは親子の愛着を中心に子どもの心の育ちとあまえ療法のお話でした。いつも聞き慣れた講演でしたが、これまで聞いた中で一番素晴らしい講演でした。様々な事例や最新の知見の紹介も交え、お話は感動的すらありました。聴衆の中には涙ぐむ方もいらっしゃったようです。
今回の講演の中で僕が特に印象に残ったのは「母から『人間とは何か?生きるとは何か?』を学ぶ姿勢が大切ではないか」という言葉でした。
往々にして問題行動を取る子ども達の背景には保護者、特にお母さんの心の問題が潜んでいることが多くあります。そのお母さんの不安や悩む心と心が響き合って子どもの行動となって現れていることが少なくないのです。しからば子どもの問題行動だけを注目していては片手落ちでお母さんにも寄り添うことが必要です。ただ“言うは易く行うは難し”で我々小児科医が悩みを抱えるお母さんと対峙するのは容易ではありません。僕は澤田先生に図星を指された様に思えました。謙虚な心が大切と、時々不遜になる自分を反省していました。
ちょっと困ったお母さんほど、このクリニックに来てくれてありがとう。診察させてくれてありがとうと感謝し、お母さんから学ばなければなりません。澤田先生はどんな難しい子どもでも決してあきらめない先生です。いつも子ども達の幸せを願っています。僕はまだまだ先生の足下にも及びません。