標高900mに位置する酸ヶ湯は今まだ深い雪に覆われています。積雪は3m程。笹藪は全て雪の下。一般道がどこにあるかも分かりません。しかしそれは逆に何処でも好きなところを歩けることを意味しています。久し振りで訪れた八甲田。折角だからといつもと違うバリエーションルートで山頂へと向かいました。登ったのは酸ヶ湯からほぼ真っ直ぐに直上するルートです。こんな所、誰も来ないだろうと思っていましたが、時折スキーのシュプールと交差して、僕と同じような物好きは何処にでもいるものだと可笑しくなりました。
登山でいうバリエーションルートとは一般道以外のルートのことです。整備されているわけではないので、それだけ冒険的要素が強くなり、技術的にも困難となることが多いのです。しかし春の八甲田山ではバリエーションと言っても雪に覆われているだけなので技術的には一般ルートとさほど変わりありません。
バリエーションルート、険しさは違うかも知れませんが、頂きを目指すのに色々な道があるということでしょう。どんなルートでも止まらず歩めば、いつかは頂きに着きます。しかし結果は同じでも、人の歩いたことのない道を歩いていると思うことは、もしかすると今立っている場所はこれまで人類が誰一人として立ったことがない場所かも知れないなどと想像することはとても楽しく思えるのです。
2014年04月23日
八甲田レポート:バリエーションルート
院長の大自然レポート