命の授業

院長のつれづれ

 最近とんと話題に上らなくなった佐世保の高校生の同級生殺害事件。一連の報道で命の大切さを教える授業をやる、やってるという話がありました。僕はそれを聞いて少し違和感を覚えました。果たして学校の授業で命の尊さを教えることなんて出来るのだろうか。例えば何かの物語を読み聞かせをして、それで教えるとして、その物語に共感できる子どもは既に命の尊さを分かっている子じゃないだろうかなんて思うのです。命の尊さを教えるのは親の責任ではないでしょうか。
 先日、FOUR WINDS青森の事例検討会にスーパーバイザー(指導員)として来てくれた神戸の臨床心理士さんと話をしていて、子どもの頃の様々な経験がそれを育むと教えてくれました。子どもって時に残虐なことを平気でしますよね。そして後悔する。その苦い経験がその子を成長させるのでしょう。そしてそんな様々な苦い経験、失敗経験を乗り切る力、すなわち心の土台は親子の絶対的な信頼関係に基づいた愛着、心の絆から生まれるのだと思います。
 日本はお節介型のお母さんが世界で最も多いそうです。子どもに失敗させまいといつも先回りして安全な方法を選ばせる、つまり過干渉。成功体験だけでなく、失敗経験もなければ子どもは強く育ちません。干渉性が高い母親の下では愛着の状態が不安定化するそうです。親が「安全基地」として機能するためには子どもを信頼して任せ、見守ることが大切なのです。

 さて、写真は奥さんと結婚30年で出かけた沖縄の海。台風とすれ違いで沖縄入りし、我々の旅行は楽しかったのですが、台風11号は日本各地に大きな爪痕を残し、気が重く、先週は写真を載せることが出来ませんでした。今週も京都や広島で大雨による災害が続いています。自然の猛威は如何ともしがたいですが、それを乗り越える逞しい力が日本にはあると信じています。これまでもそうしてきたのですから。

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