夜泣きに「笑顔の無言療法」

その他のつれづれ

 外来で赤ちゃんの夜泣きのことを相談されることがあります。僕は「良いお薬があるよ。漢方薬が8割くらいの子には効くよ」とお話しして甘麦大棗湯(かんばくだいそうとう)を処方します。これはクッキーの原料のようなお薬で甘くて飲みやすく、副作用はありません。もう一つ、抑肝散も夜泣きに使うことがあります。しくしく泣くような夜泣きに甘麦大棗湯が有効で金切り声で泣くような夜泣きには抑肝散が有効と言われています。また漢方薬には「母子同服」という考え方があります。これは子どもと同時に母親にも服用させるというものです。甘麦大棗湯は不安を鎮める働き、抑肝散はイライラを鎮める働きがありますが、赤ちゃんの夜泣きの原因は、母親の不安やイライラを赤ちゃんが間主観的に感じる(心と心が響き合う)ことによることが多いからです。
 夫やお姑さんとの意見の食い違い、アパートで赤ちゃんの泣き声がご近所さんにに迷惑になってはいまいかと心配したり、それらのお母さんのストレスを赤ちゃんが感じて夜泣きしてしまうことがあります。内藤寿七郎先生の「育児の原理」には夜泣きはいずれ治るものと家族もご近所の方も大らかに接してあげて欲しい、そうした思いやりが夜泣きを一番早く治すとありました。

 「育児の原理」にはもう一つ夜泣きの治療法が書いてありました。それは「笑顔の無言療法」。神経質な赤ちゃんに言葉をかけすぎると夜泣きが始まることがある。もしこれといって夜泣きの原因が見当たらない場合、言葉のかけすぎを疑って、1週間くらい“だんまり作戦”という無言療法が効果あることがあるのだそうです。これは声を出さないで笑顔だけで赤ちゃんに接し、かまわれすぎて高ぶった神経を鎮める治療なのだとか。
赤ちゃんの夜泣きでお困りの皆さん、一度試してみてはどうですか?
「治ったら普通の態度で接すること」とただし書きもありました。

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