子どものコロナワクチン

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 6ヶ月から5才未満のコロナワクチンが始まりました。小児科学会では子どものコロナワクチンを推奨しています。さて、本当に子どもにもコロナワクチンは必要でしょうか。しばらくコロナの話題を書かないでいたので、ここで子どもへのコロナワクチンに対する自分なりの意見を書いておきます。

 現在、コロナの流行はほとんどがオミクロン株です。コロナのパンデミックが始まった当初、それ程変異は起きないのではないかという意見も散見されましたが、 実際はどんどん変異が起きました。アルファ株やデルタ株では成人の重症例、死亡例が相次ぎ、社会に大きな衝撃を与えました。しかし何故か子どもへの感染は少なく、しかも感染したとしてもほとんどが軽症でした。新型コロナ感染症は大人の病気と高を括っていたのですが、それがオミクロン株に取って代わり、子どもが流行の主体となってきました。それと共に症状も変化してきました。ワクチンのお陰もあってか大人は軽症化しています。しかし子どもの症状はむしろ重くなっています。高熱が出て痙攣を起こす子も少なくありません。そうは言っても発熱は2日前後、咳などの風邪症状もインフルエンザやRS、ヒトメタニューモウイルスに比べ遙かに軽症です。

 オミクロン株の子どもの症状は普通の風邪とそれ程変わりません。当院でも既に800人以上の子どものCOVID-19を診断していますが、全て軽症例でした。しかし弘前病院には中等症での入院例もあるようです。全国的には重症例や死亡例も出ています。今年9月時点での20才未満の死亡例は41人、その半数は5才未満、また、半数は基礎疾患のない子どもだったそうです。

まとめると大部分は軽症でインフルエンザよりは軽い。しかし稀には重症化する子もいるということでしょう。

 一方、新型コロナワクチンの子どもへの有効性は発症予防が75%、重症化予防は更にそれ以上、というデータを読みました。これはかなり期待できる値といって良いでしょう。ワクチンによる発熱などの副反応は成人よりも少なく、10%程度のようです。長期的な副反応も心配なさそうです。

 以上を考慮して僕としては、是非と言うほどには推奨しませんが、やった方が良いかなといったところでしょうか。子どものうちに何回か罹って免疫を付けるという考えもありますが、それは将来の話しで今は周囲への影響が大きそうです。子どもが園や学校で感染し、そこから父や母が感染するというケースも多いです。

今は、子どもから大人まで社会全体で予防接種を進めながら、以前書いたエンデミックを目指すといった所でしょう。

皆さま、よくお考えの上、自分のお子様に接種するか否かをご判断ください。

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