ご覧になった方もいるでしょうが、先日関東のI市で保育所を作ろうとしたところ、子どもの声でうるさくなると反対され、保育所の建設が中止されたとのニュースがありました。保育所と騒音で検索すると沢山ヒットします。子どもの声が騒音だなんて!!
同じ日のニュースに、父親が2歳と3歳の我が子を収納ケースに押し込め死なせてしまったという事件がありました。理由はテレビをたたくなどして騒いでいたからと。
この二つのニュース、どちらも根は同じと感じました。なぜ子どもの声をうるさく思うのでしょう。大人が子どもと接するとき、知らず知らずに自分の子ども時代と事が想起されると言われています。澤田敬先生はお母さんが赤ちゃんに“いないいないばー”をするとき、赤ちゃんは楽しくて笑いますが、遊んであげているお母さんも間主観的に楽しくなる、それはお母さん自身の子どもの頃の表象世界(心の中のアルバム)が想起され、童心に返って楽しくなるのだと言っています。子どもの声をうるさく思うのはネガティヴな辛い表象世界が現れるからかも知れません。それは楽しい子ども時代を過ごしていなかったから? しかし誰しも辛い思い出だけでなく、楽しい思い出もあるはずです。辛い思い出の方が先に現れるのは、おそらくその人が今置かれている環境にもよるのではないでしょうか。家族関係が気まずかったり、地域社会から孤立していたり。そもそもその地域社会が貧弱では孤立云々以前の問題かも知れませんね。
虐待も同じです。騒ぐ子どもに心がかき乱されるのは、自分自身が親に虐待された表象が想起され、同じように虐待してしまう。それを救うのは何時でも相談できる友人がいたり、それに代わる公的な機関があったり、自分の辛い過去を言葉にして言える環境が必要なのです。
小児科医院もその一つになるべきなのではないかと考えています。
予防接種や健診で受診したときそのサインを見付けてあげたいといつも思っています。当院のスタッフもいつでも相談相手にあげられますよ。
気軽に話しかけてくださいね。