5歳から12歳以下の子どもへのコロナワクチンが始まろうとしています。当院でも接種することに手を上げました。しかし小児科医の間でもこのコロナワクチンについては賛否両論があります。
元々、ワクチンには自分の身を守る自己防衛と自分が罹らないことでワクチンを受けられない他者を守る社会防衛との二つの側面があります。例えば麻疹は罹ると命に関わる感染症ですから、ワクチンで自分の身を守ることは重要です。また皆が罹らないことでワクチンを受けられない乳児を守ることも出来ます。これを集団免疫と言います。
さて、新型コロナワクチンですが、どうやら子どもにとっては新型コロナはただの風邪のようです。罹ってもほとんどは軽症で済みます。従って、自己防衛的な意味は小さいと考えられます。もっとも、中には基礎疾患や肥満があって、重症化する可能性のある子どもは自分を守るために接種する意義はあるでしょう。
ですので、子どもへの新型コロナワクチンは社会防衛的な意味が主体です。罹ると重症化しやすい高齢者を守るため、あるいは今の制度では父母も濃厚接触者となって仕事を休まなければならず社会的なダメージが大きいのでそれを避けるためです。子どもも軽症とはいえ、罹ると10日間もお休みしなければなりません。
オミクロン株では子どもから子どもへの感染、子どもから大人への感染が増えています。社会全体の流行を抑えるためには子どもの集団での流行を抑える必要があります。
もう一つ、大きな問題はワクチンの副反応と効果です。副反応については大きなところで心筋炎がありますが、心筋炎と言っても軽症でほとんどは安静にしているだけで治るようです。大きな問題ではないと思います。アナフィラキシーは希でしょう。さて、その効果ですが、流行の主体がオミクロン株になって、どうやら今のワクチンの有効性は高くはないようです。今、オミクロン株に対応したワクチンの開発が進んでいます。(接種するならそのワクチンが望まれます)
以上の理由から自分は積極的に子どもにワクチンを勧奨することはしませんが、例えば同居する高齢者を守るため、あるいは社会的なダメージを防ぐためにワクチンを接種することを否定しません。
しかし、もし接種するかどうかを「迷ったら待っていい」という森内先生の意見に賛成します。
https://www.asahi.com/articles/ASPDR5F0CPD1ULBJ01F.html
もう一つ
厚労相から出された子どものコロナワクチンに関する情報です。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_for_children.html
写真は先週の岩木山
ボードを担いで登りましたが、残念ながらバテて頂上へは届きませんでした (×_×)