小児科医の役割とは

講演・学会・検診

 東北6県に新潟、北海道を加えた8つの県、道の小児科医会が集まる東北・北海道小児科医会連合会。年1回の総会を各県持ち回りで開いています。前の土日、秋田市でその総会が開催されました。その総会では毎年テーマを決めてシンポジウムが開かれます。今年のシンポジウムのテーマは「小児科医の近未来を語ろう」。実は多くの小児科医、特に開業小児科医が自分たちの未来について不安を抱いているのです。
 今年の春、青森県の小児科医会の会長K先生に今年の青森代表のシンポジストを頼まれました。さすがに二つ返事というわけには行きませんでしたが、テーマがテーマだけに若い先生には頼まれないと言われ、仕方なしにシンポジストを引き受けました。とはいうものの、「小児科医の未来?さて、何を話そうか」と悩んで決めたのが子どもの心の診療についてでした。主催者側は新しく始まった地域総合小児医療認定医制度の話しに持って行きたかったようですが、僕はその制度にあまり興味がありませんでした。そこで当院で今年の春から始めた「子どもの心相談室」のことを話し、全ての小児科医が子どもの心の診療に取り組むべきだと主張しようと考えたのです。

 僕のプレゼンテーションのタイトルは「一小児科医がチームで診る子どもの心」。僕の話は、それなりにインパクトはあったようです。しかし会が終わってロビーで知り合いの若手の先生に言われました。「ハードルが高すぎる」と。それを聞いて初めて僕は自分のプレゼンが失敗だったと悟ったのでした。
僕は子どもをその症状だけでなく、心身の発育発達、家庭・家族環境と全ての側面から多角的、総合的に診ることが出来るのは小児科医だと主張したかったのです。そしてどの小児科医も子どもの心に常に配慮するべきだと。しかしそれと自分の実践報告に乖離があったのでしょう。もっと親しみやすいプレゼンにすれば良かった反省したのでした。

 日曜日、秋田から帰る道すがら沢山のバイクとすれ違いました。「今日は晴れて絶好のバイク日より。きっと八甲田の紅葉も今がベストだろうなあ」とちょっと嫉妬しながらライダー達を眺めていました。

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