僕の高校生の頃の話しです。友人と野鳥観察をしようということになりました。その頃はまだバードウォッチングなんて洒落た言葉はありませんでした。お小遣いで買った安い双眼鏡を首に下げ、森を歩いていた時に出会ったのが小山先生でした。先生と親しくなり、仲間達と「千歳野鳥の会」なるサークルを作り、日曜日には毎週のように先生と森を歩きました。大学で山岳部に入ったのも、山へ行けば変わった野鳥が見られるかも知れないと思ったからでした。その頃、先生は養護学校に勤めていらっしゃいました。生物学が専門で、部屋には沢山の蜘蛛の標本がありました。趣味はカメラとギター。穏やかな暖かい先生でしたが、奏でるギターの音は激しく、ユパンキの曲を僕たちの前で演奏してくれました。
大学受験で理学部の生物学科と医学部を受かった時、迷って先生に相談しました。生物学はやりたかったけど、打差的に考えると医学部を選ぶべきかと迷っていたのです。先生は「医者も面白いよ。子どもにお薬を出す時は体重やら何やらで、その子その子で違うんだよ」と教えてくれました。今思うと、小児科医としての自分のスタートはそこだったのかも知れません。間違いなく自分に大きな影響を与えてくれた先生の一人です。
先日、親しい友人から連絡がありました。小山先生が亡くなったと。ネットで小山先生のことを調べていて知ったそうです。そして先生の歌をYouTubeで聞くことが出来ると教えてくれました。教えられた通りに検索し、YouTubeを開いてみると、そこには懐かしい小山先生の歌声がありました。良い曲でした。先生はきっと素敵な人生を生きたのだと思えました。もし良かったら皆さんも聞いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=NjDZHuJfkZ0
「遠い流れに」
1998年作 詩:小山心平/曲:北インド伝承曲
1
いつの日にか 遠い流れに
舟浮かべ 旅立とう
山ふところの 小さな村に
思い出を 残して
私は今 静かにゆれ
みなも遥か 彼方まで
時は止まり 夢の中を
川は流れ つづける
2
何もいらない あなたといれば
二人の旅が 続くから
夜空の星に 届けよ願い
語り合う ひととき
私は今 静かにゆれ
波の音を どこまでも
時は止まり 夢の中を
川は流れ つづける
3
どこを行くのか 遠い流れは
あまたの出会い また別れ
果てることのない いのちの大河
さだめのまま とうとうと
私は今 静かにゆれ
まぶた閉じて いつまでも
時は止まり 夢の中を
川は流れ つづける
川は流れ つづける