感染症サーベイランス

院長のつれづれ

 昨夜の急患診療所では朝から嘔吐している子が比較的多く受診されました。インフルエンザは0でした。疑いは他県から来た1例だけ。しかしまだ発熱から時間が経っていなかったので、検査せず麻黄湯のみ処方しました。急患診療所に出るとあちこちから患者さんが来るので中弘南地域の流行状況がより分かります。

 当院の感染症発生動向と県の感染症発生動向とを比較すると、中弘南地域の各感染症の1/2から1/4が当院からの報告ですが、インフルエンザに関してはいつも1/5以下で、週によっては1/20以下ということもあります。もちろん中南地域の中でも更に流行している区域とそうでない区域があるので一概には言えませんが、僕と他の先生のインフルエンザの捉え方の違いで差が出るのかなと思ったりします。つまり僕は極めて軽症のインフルエンザを診断する必要は無いと考えています。怪しいなと思っても元気そうなら敢えて検査しないことも良くあります。そしてインフルエンザであってもそうでなくてもどちらでも良いように漢方薬を処方します。発熱患者全員の検査はしていませんし、熱のない隠れインフルエンザなんて頼まれても検査しません。全ての感染者を洗い出そうとすれば、毎日校門の前で全員に検査する必要があります。それは不可能ですし無駄なことです。

 しかし例えばエボラ出血熱などといった重症感染症であれば話しは違います。極めて致死率が高い感染症であれば、積極的に診断するでしょう。その感染症の重症度、感染力、感染経路で対応を考える必要があります。僕はインフルエンザを重症感染症とは捉えていません。ただ、稀にある重症の合併症を見逃さないようにすることが肝要と考えています。

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