新型コロナウイルスによるパンデミックはほぼ終息しました。といってもウイルスがいなくなったわけではなく、感染したり予防接種を受けたりで多くの人が免疫を獲得し、そしてウイルス自体も弱毒化し、健康被害が小さくなりました。国もその状況を鑑み、3月一杯で発熱外来を終了する方針です。今回のコロナ禍対策に大きな役割を担ったのは間違いなく新しいワクチンの存在でしょう。RNAワクチンを知って、医学の進歩は凄いと感心したものでした。
さて、この後も色々と新しいワクチンが出てきます。
その情報をお知らせします。
1.5種混合ワクチン。4月から始まります。これはこれまでの4種混合ワクチンとヒブワクチンが合体したものです。従って注射するワクチンの本数が一つ減ることになります。
2.15価肺炎球菌ワクチン。これは15種類の肺炎球菌のワクチンが混合されたものです。肺炎球菌ワクチンが最初に出てきたときは7価でした。それが現在の13価になり、今度15価が出てたわけです。更に夏には20価が使えるようになるようです。
3.新MMRワクチン。現在の麻疹風疹ワクチンにおたふく風邪が加わったワクチンです。諸外国ではほとんどこのワクチンが使われています。30年程前に日本でもMMRワクチンが開発されたのですが、副反応で髄膜炎が多発し中止になった経緯がありました。この事件をきっかけに国は新しいワクチンに消極的になり、日本は世界から取り残されてしまいました。新MMRワクチンでは髄膜炎の合併は極めて稀のようです。
4.RSウイルスワクチン。これは出産前の母親に接種するワクチンです。母親が作った免疫を生まれてくる赤ちゃんがお腹の中で貰って、その移行免疫で乳児早期のRSウイルスによる重症化を防ごうというものです。赤ちゃん自身に免疫を作らせることが困難なので母親が作った免疫で赤ちゃんを守ろうという発想です。
5.インフルエンザ経鼻ワクチン。これは既に海外で使用されていたワクチンです。注射ではなく鼻に噴霧するワクチンです。痛くない!それが日本でも使えるようになります。
RSウイルスワクチン開始は朗報ですが、赤ちゃん自身に接種するわけではないので、その免疫は6ヶ月ほどで消えてしまいます。しかしその期間に重症化する事が多いので、妊娠中のお母さんは接種する価値は大きいと思います。
これからもっと優れた色々なワクチンが出来ると良いですね。
外来には時々、ワクチンに否定的は親御さんが来られます。往々にしてネガティブな情報ほど、説得力があったりします。ワクチンのお陰で疾病が少なくなると、その恩恵が分かりにくくなります。何が正しいか客観的に判断してくれることを願っています。
写真は日曜日の岩木山。快晴でしたが、雪が多く、百沢から山頂まで4時間以上も掛かってしまいました。途中何度、引き返そうと思ったことか。自分でボードを担いで登るのはとうに諦めました。
年々、体力的に登るのが大変になるのを感じています。