赤ちゃんの夜泣きで苦労されている方も少なくないのではないでしょうか。かく言う我が家も長女の夜泣きがひどく、確か生後2歳ころまで毎晩3、4回は泣きました。先日、読売新聞に夜泣きについての記事が載っていました。良い記事なら院内に張り出そうと思ったのですが、読んでみてちょっと残念に思いました。
夜泣きが子どもの発達に影響することもある、虐待に繋がる、睡眠障害の可能性もある・・・などと不安を煽り、
更には夜泣きの対策として、
生後6ヶ月以降は子どもが泣いてもしばらく見守る
生後9ヶ月以降であれば夜は断乳する。
まるで赤ちゃんの気持ちを無視しています。赤ちゃんに心がないと思っているのでしょうか。赤ちゃんの夜泣きの理由を考えず、泣いても抱っこせず放っておけとはあんまりだと残念に思いました。
さて、漢方治療では夜泣きに使う幾つかの処方があります。代表的なお薬が甘麦大棗湯と抑肝散。これらは成人の不眠や不安症にも使われます。更に漢方治療では母児同服といって同じお薬を親子に飲ませる治療法があります。つまり夜泣きはただ子どもの問題ではなく、母親の不安、苛立ちを赤ちゃんが感じ、それで夜泣きをすることがあるので、母児同服は理に叶っているといえいます。漢方治療は経験の積み重ねで作られたお薬ですから、昔の人も夜泣きの原因を経験的に分かっていたのでしょうね。
確かに生まれ持っての気質(性格)で神経質な赤ちゃんはいると思いますが、“子どもは親の心を映し出す鏡である”とよくいわれます。先ずは、お母さんがゆったりと構えていることです。自然に、大らかに、子育てできるゆとりが必要なのでしょうね。