発送の展開 ペップキッズ郡山

講演・学会・検診

このところ余りに忙しい日が続き、ブログを更新できませんでした。2週間ぶりのブログは長文です。ごめんなさい m(__)m

 今年のFOUR WINDS乳幼児精神保健学会は福島県郡山市で開催されました。あの福島第一原発から西へ50kmほどの所にあります。震災復興記念大会として銘打った大会テーマは「“いのち”のときを伝えたい」
学会では様々な立場からの震災からの復興への取り組みが発表されました。
その中で福島では3年前の震災で4つの大きな災害があったと発表されていました。地震と津波、そして原発事故による放射能汚染。後の一つは? それは風評被害。初めの二つは目に見える災害ですが、後の二つは目に見えない災害です。放射能汚染という災害は目に見える災害と同様、その不安感は強く根深く心に刻まれています。そこへ風評被害という災害が追い打ちを掛けています。

 今週の「院長のひとこと」のテーマ、発想の転換は大会で出てきた言葉です。今ある現状を受け止め、次へと歩き出すためには発送の転換が必要だというのです。例えば福島の子ども達は、今はまだ、山や川といった自然の中で遊べません。じゃあそれなら汗をかいて遊べるような屋内施設を作ればいいじゃないか、ということで今回の大会長となった郡山のK先生は「ペップキッズ郡山」という大きな施設を作りました。震災のあった年の12月のことです。彼の情熱が多くの人の心を動かしました。震災後、わずか9ヶ月でそのような施設を作り上げた彼の行動力に脱帽します。

 学会が終わった次の日、その施設を見学してきました。中には走れるほどの大きなトランポリン、砂場では水も使ってどろんこ遊びも出来ます。駆けっこも出来ます。壁だって登れます。ボールプールにおままごとが出来る大きな遊具。そして何よりプレーリーダーという子ども達の遊びを見守る沢山のスタッフがいるのです。決して大人が遊ばせるのではありません。子ども達が自由に遊べるように、そっとサポートするのです。携帯に夢中で子どもを見ていない親には声を掛けます。「あれ?○○ちゃんはどこで遊んでいました?」あるいは「○○ちゃん、楽しそうに遊んでいますね。お母さんもどうですか?」などなど上手に親子関係もサポートしています。決して嫌みのない、その技に脱帽。

 しかし考えてみれば、別に福島でなくとも今、外遊びする子ども達はどんどん減っています。スクリーンには誰一人として子どもの遊んでいない東京の公園が映し出されていました。
学会のサブテーマは「日本の子ども達の真の復興は郡山から」
福島に限ったことではないのです。我々は子ども達が心身ともに健康に育つための環境作りを今一度見直すときにきているのでしょう。
 石油や原子力、あるいは鉄などの鉱物資源、それらを無尽蔵にあると勘違いして消費してきた我々の生活そのものを見直すにはやはり発送の転換が必要なのです。震災は辛い出来事でしたが、それをバネにして、発想を転換し、新しい健康で持続可能な世の中(LOHAS )を作らなければならないのです。

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