胸の音を聴診するとき、我々は息を吸うときの音と息を吐くときの音とそれぞれに分けて聴診し、その音の意味を考えます。頭の中で肺の中をイメージし、これは鼻から落ちた痰が喉に絡んでいるなとか、肺の炎症で分泌物が出て気管支の壁にへばりついているなとか想像し、診断して行くのです。気管支炎や肺炎では吸気時にチリチリ、プチプチと音がします。鼻汁が喉の絡んでいるときは比較的大きなゼロゼロした音がします。喘息では気管支が狭くなるので、息を吐くのが苦しくなり、呼気時にピーピー、ヒューヒューと音がします。
この秋、横浜で開催された小児アレルギー学会で肺音の研究発表がありました。比較的若い女性の先生でした。喘息の発作時の呼吸音は上に書いたように息を吐く時のヒューヒューと聞こえる音ですが、この発表は発作を起こしていないときの吸気時の音の研究でした。僕は非発作時は喘息の患者とそうでない患者の呼吸音に差はないと思いこんでいたのですが、そうではないそうです。中音・高音域の音の強度が違っていたのです。しかもその解析から喘息が良好にコントロールされているか否か、あるいは発作の予兆をピークフローより鋭敏に知ることが出来るそうです。測定器具は既に実用レベルに達し、近い将来、誰でもが利用できるようにしたいとおっしゃっていました。彼女は一般診療の中で、喘息の子ども達の呼吸音が非発作時も違うと気付いたそうです。素晴らしい観察力、注意力と感心しました。この器具が一般化すると喘息治療も更に向上すると思いました。
話しは変わりますが、カラスに2種類いるのをご存知ですか?一つはハシボソガラス、もう一つはハシブトガラス。頭の形と嘴の形が少し違います。鳴き方もガーガーとカーカー、少し違います。我々凡人は言われないと気付きませんよね。カワウとウミウの違いなんて言われても分かりません。世の中にはそれに気付く凄い人がいるのです。
さて、先週から以前に撮った写真を復刻版としてまた載せていましたが、今週の写真は3年前に撮影した八甲田毛無岱の紅葉です。酸ヶ湯からゆっくり歩いても1時間しないでこの景色を見ることが出来ますよ。