先日、送られてきた小児科学会誌に興味ある総説が載っていました。赤ちゃんの痛みに関する論文です。
タイトルは「新生児の痛みの評価とケアー痛み経験がもたらす影響を改善させるためにー」。
自分も勤務医時代、新生児・未熟児医療に関わっていました。思い返すと小さな命を助けるために痛みを伴う処置はやむを得ないもので、それは仕方ないことと無頓着だった自分がいました。しかし新生児期の強いストレスが後々まで大きな影響を及ぼすことが分かってきました。今回の総説を読んで、自分の無頓着を強く反省させられました。
論文には
新生児は成人よりむしろ痛みを強く長く感じていること。
頻回の痛み刺激を受けた早産児が、その後に痛みに対する感覚異常が発生しうること。
成長してからもなお不安や抑うつといった問題行動や、更には成人してからの不安障害やストレス関連疾患を発症するリスクを高めることなどなどが書いてありました。
そしてそのケアについて、処置前にショ糖(砂糖)を飲ませるとか、母親への支援が子どもの脳の発達が改善する可能性があること
等の記載がありました。
痛み刺激に限らず、赤ちゃんが抱える様々なストレスを、これまで大人は軽んじてきたように思えてなりません。しかし適切なケア無しでは、それこそ生涯にわたって影響する可能性があります。大人は赤ちゃんを世話するとき、それを肝に銘じるべきなのです。