10月16日秋田市で開催された『甘えと間主観性研究会』で名古屋の牧先生の講演のタイトルです。牧先生は児童精神科医です。児童相談所に勤めた経験もあり、発達障害だけでなく、様々に心の問題を抱えた子ども達を診察されてきた先生です。その発想は時にユニークで、はっとさせられることも数多くありました。
今回のテーマは子どもの育ちがテーマでした。牧先生は子どもの育ちで最も大切なことは「通じる」ことだと言っています。多くのお母さんは生まれたばかりの赤ちゃんでも交流が出来ていると思っています。それは言葉では説明できません。そして赤ちゃんはお母さんと通じている体験を積み重ね、それが育ちにつながります。多くの赤ちゃんは1才頃から発語がありますが、その発語の前に、お母さんと言葉ではなく触れ合いや表情など感覚的につながっていることが大切です。同じ情報を得てお互いに交流する(共同注意と言います)体験が有って初めて発語へとつながります。
しかし難しいことは必要ありません。スマホや育児雑誌を読む必要もありません。生まれたばかりの赤ちゃんに合わせるには言語や論理から離れないと困難です。それを乳幼児精神保健では本能的育児という言い方をしています。しかし少子化、核家族化で、親自信が子育てをするのに十分育っていないこともあります。外来で初めて子どもを授かったお母さんの不安をよく感じます。親子を暖かく見守り、支援する家庭、地域社会が大切かなと思っていました。