昨年4月、小児科医も産婦人科医も待ち望んでいたHPVワクチン(所謂、子宮頸がんワクチン)が再開されました。今年の4月からはより有効な9価ワクチンが始まります。今までの4価は有効率60〜70%、9価になると有効率は90%に上がるそうです。
HPVワクチンは2013年に定期接種が始まるも、間もなく勧奨接種が中止され、ほとんど希望する子がいなくなり、日本は世界に取り残されてしまっていました。諸外国では子宮頸がんはどんどん減少し、過去の病気となりつつあったのに対し、日本ではむしろ患者数は増加しているのです。
勧奨接種が中止になったのは、ワクチン接種後に歩けなくなったり、手足の奇妙な動きが出現した女の子達が出てきたからですが、マスコミは何度もそれを取り上げ、さもワクチンに原因があるかのような報道を繰り返し、社会全体がこのワクチンを否定的に捉えるようになり、勧奨接種は中止されたのでした。
しかし実は中止後早い段階で、疫学データからその副反応がワクチンの成分による副反応ではないことが証明されていました。(しかしそれが広く伝えられることはありませんでした。)
一部の小児科医は彼女たちの動画を見て、神経疾患ではないと見抜いていました。しかしある大学の小児科教授は新しい疾患だと主張し、小児科学会会場で激しい議論が交わされたこともありました。
タイトルのISRRとは3年前にWHOが提唱した新しい概念で、ワクチン接種に関する「不安」によるストレスが原因で起こる反応の総称です。
HPVワクチンの勧奨接種は再開されましたが、これからも同様の訴えを起こす子はこれからも出るかも知れません。それを起こさないためには不安の強い注射が大嫌いな子どもを、出来るだけ落ちついた環境で痛みを減らす対策を取って行くことが必要と考えています。
ただこの9年間、HPVワクチンを受ける機会を奪われ、不幸に子宮頸がんを発症してしまった女性をどう補償して行くかが問題だと考えています。
しかし国は「勧奨はしていないが、定期接種を止めたわけではない」などと言って逃げるのだろうなあ。