MRI体験ツアー

講演・学会・検診

 プレパレーション、近頃、小児医療界ではよく聞く言葉です。このブログでも何度か取り上げました。プレパレーションpreparationとはprepare準備するの名詞です。つまり検査や注射などの医療行為による子どもの不安や恐怖を出来るだけ減らすために、心のケアを行い、環境を整え、準備することです。日曜日、スタッフ二人と仙台で開催された東北外来小児科学研究会に参加してきました。その会の教育講演のテーマがプレパレーションでした。講師は聖路加国際病院の小児看護専門看護師Hさん。当院でも子どもの不安、苦痛を軽減するために様々な工夫を凝らしていますが、更にいろいろとヒントをもらってきました。

 彼女の講演で一番面白かったのが、MRI体験ツアー。MRIとはあの頭や内蔵の断面の画像を撮る大きな装置です。経験した人は分かると思いますが、狭い筒の中に入って、撮影に30分程も掛かります。そしてガーン、ガーンと撮影中のものすごい音! 小さな子どもを検査する時には大抵の場合、お薬で寝かせて撮影します。しかし聖路加病院では“MRI体験ツアー”なるものがあるそうです。このツアーのおかげでスムーズにMRIの検査ができるようになったとか。ツアーに参加した子ども達には3つのミッションが与えられます。まずミッション1:検査室を見学しよう。実際にどんな部屋か、中に入って見学します。ミッション2:音に慣れよう。実際の大きな音を聞いてそれに慣れ、その中で気をつけの姿勢を取る。ミッション3:検査台に乗ってみよう。実際にMRIのベッドに寝て固定してもらう。全てのミッションをクリアするると子どもは宝箱の鍵をもらえ、宝箱を開けて中の宝をゲットできる。
このツアーを2、3回体験すると3、4歳の子どもでも眠らせずに起きたまま検査できるのだそうです。

 Hさんは講演の中で“いやなこと”を好きにさせることはなかなかできません。ですが、「いやだけど・・・やってみよう!」と子どもが思えるようにすること、嫌なことを一生懸命頑張った自分を「わたし(ぼく)って、すごいな!」と思えるようにすることはできますと話されていました。病院での辛い体験を成功体験へと変え、自尊感情へとつなげられると良いですね。そのためには医療機関だけでなく、お父さん、お母さん、あるいはおじいちゃんおばあちゃんの協力も大切です。誉めてもらって一番嬉しいのはやはりお父さんお母さんなのですから。

写真左は土曜市のトマト売り。これカボチャじゃなく、全部トマトです。

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