Well child care

講演・学会・検診

 恒例の8月末の外来小児科学会。今年、参加したスタッフは6名。今回もそれぞれが様々なセミナー、シンポジウム、ワークショップに別れ、勉強してきました。今日のタイトルのWell child careとは国立成育医療センター総長、五十嵐隆先生の講演の中の言葉です。講演のタイトルは「日本外来小児科学会への期待?小児プライマリ・ケア分野における役割?」
 日本は世界でもっとも子育てしやすい国の一つだそうです。それは福祉や教育環境の点でとういことでしょう。しかし子ども達が寂しいと感じている率は他のOECD各国が10%程度であるのに対し、日本は30%と群を抜いて高い値だとか。親と暮らしているのに寂しいと感じるなんて・・・。
Well child careとは健康な子どものケアと言うことですが、この言葉を聞いて僕は我が意を得たりと思いました。自分がいつも考えていること、そのものを表している言葉のように思えたのです。しかもそれが成育医療センターという難しい病気を診ている大病院の院長の言葉なのですから尚更です。五十嵐先生のご専門は小児腎臓病で元東京大学の教授です。一度講演を聴いたことがありますが、専門外の僕でもとても分かりやすい講演でした。そういえば弘前大学の前の小児科教授も晩年、小児保健に力を入れていました。小児保健の重要性は年を取って初めて分かることなのでしょうか。僕自身、若い頃は小児保健のことはあまり気にとめていませんでした。目の前の重症の子ども達のケアで必死でしたから。しかし今、健康な普通の子ども達が心身ともに健康に育つことの難しさを実感しています。しかもそれは年々、困難さを増しているようです。我々外来小児科医の役割とはまさにWell child care。健康な子ども達のケアとその方法を家族に伝えていくことだと考えています。

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