『ない』ことの証明

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 今年のノーベル医学生理学賞を受賞した京都大学の本庶佑先生がノーベル賞受決定後の初公演で、子宮頸がんワクチン問題について取り上げ、現在の「日本は国際的に見ても恥ずかしい状況」とコメントしたそうです。「科学では『ない』ということは証明できない。『ある』ものが証明できないことはない。『証明できない』ということは科学的に見れば、子宮頸がんワクチンが危険だとは言えないという意味だ」と述べ、「なぜこれを報道しないのか」「ルワンダなど(リソースの少ない国)でもワクチンを導入して子宮頸がんが減っている」「このことに関してマスコミの責任は大きいと思う」と述べられたそうです。
 先生は厚労大臣を訪問し、子宮頸がんワクチンの積極的接種再開の要請を行ったそうで、以前から医療経済やQOLの観点からワクチンを初めとする予防医療の重要性を繰り返し訴えていたと医学系のネットニュースに出ていました。現在の日本の状況を憂いておられるのでしょう。

 世界中で子宮頸がんが減少している中、日本だけが増加しているそうです。もし仮に神経症状のように見える副反応が子宮頸がんワクチンが原因だったとしても、その発生率は極めて低く、子宮頸がんに罹患するリスクとは比較にならないものです。自分の娘には接種しましたし、当院のスタッフも皆、自分の娘に接種しています。感情的なワクチン忌避論に左右されることなく、自分の判断で接種していただくことを願っています。

そう言えば、満員電車で痴漢と間違われ、無実を晴らすのに大変な思いをした話がテレビで出ていました。これも似たようなものでしょう。外来診療でも同じです。『ない』ことの証明はとても困難なのです。

 写真は二の丸辰巳櫓です。冬の弘前公園も良いですね。
やっぱりスマホのカメラは画質がいまいちですね。カメラを持って行けば良かった。
(^_^;

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