かくれんぼの心理

講演・学会・検診

 先々週の日曜日、慶応で開催されたFOUR WINDSのセミナーに参加してきました。今回は事例検討。岐阜の臨床心理士の先生が報告した事例に小倉先生という著名な児童精神科医がスーパーバイズ(カウンセラーのためのカウンセリング指導)するのですが、事例そのものもさることながら、スーパーバイズの質と内容に圧倒されました。感動すら覚えた2時間半のセミナーでした。
 かくれんぼは発表者の臨床心理士がカウンセリングを進める中で子どもが取った行動です。子どもと心理士が面接の回を重ねるうち、親しくなり、ある回の面接の始まりで、子どもが診察机の下にふざけて隠れるのです。それを小倉先生は「ああ、この子はかくれんぼしたかったんだね。それまでお母さんとかくれんぼ出来なかったんだ」と言われました。会場の皆が大きく頷きました。

 さて、かくれんぼの心理とは。かくれんぼする時、自分を探して見付けてもらえるという安心感がないと隠れられませんよね。ちょっと不安な子はわざと見つかるようにサインを出したりします。つまり親とかくれんぼで遊べるためには、それまでにしっかりと親子の絆ができていることが必要です。安定した愛着が形成され、心の中にお母さんお父さん像が出来てくると子どもはかくれんぼ遊びができ、家の外へも遊びに行けます。直ぐ目の前にお母さんの姿が見えなくても直ぐには不安になりません。では心の中のお母さん像を造るにはどうするか。それには親子の心を響き合わせ、子どもの甘えを受け止め、強い信頼関係を造ることです。そう書くと大げさですが、穏やかな気持ちで、抱っこして、視線を合わせ、お話しする・・・なんだ普通のことでした (^_^; 。でもその普通のことが難しくなっている今の世の中なのかな。

写真は8月の終わり、鯵ヶ沢の海水浴場です。

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