心の井戸

院長のつれづれ

メリークリスマス!
 皆さんはどんなクリスマスを過ごされていますか?自分もキリスト教徒ではありませんが、毎年このクリスマスを楽しんでいます。自分の子どもの頃、朝起きて枕元のプレゼントを見付けた時の嬉しさを今でも覚えています。どんなプレゼントだったかは記憶にありませんが、その楽しい気持ちが残っています。お正月の思い出、誕生日の思い出、母の日の思い出、友だちと遊んだ思い出、それらの数々の思い出が自分の心を形作っています。良い思い出だけではありません。辛い思い出や悔しい思い出も一緒に残っています。

 昨年夏にお呼びした渡辺久子先生がヒロロでの講演会で「心の井戸」の話をされていました。
「人の心は深い井戸に似ています。日常何気なくやり過ごしてしまう出来事は、井戸に投げ込まれた石のように、必ずある波紋を心の表面に引き起こして心の底に沈んで行きます。人の心の井戸の底には、人がその日その日を刻々と生きた感情体験の記憶の片鱗が絶え間なく降り積もって心の地層が形成されていきます。最近の乳幼児精神医学で明らかになったことは、人は一つや二つの不幸な出来事により心が傷つき心が病むのではなく、むしろ日常生活の中で、丁度身体が空気を吸い、食も当を食べるように心が触れ、吸収している周囲の世界との関わり、つまり家庭の雰囲気や、抑圧や歪みなどが累積して、心の歪みや障害を形作っていくのです。」

 もちろん心の井戸に放り込まれる石には黒い石ばかりではなく、輝く宝石もあります。明るく輝く石が多いと良いですね。

 我が家の子ども達もきっと孫娘、孫息子の枕元にクリスマスプレゼントをそっと置いたことでしょう。そして朝起きて彼らがそれを見付け、包みを開けた時の丸くなった目を想像していました。

クリスマスの次はお正月。子ども達にはお楽しみが続きますね。
それでは皆さま、良い年をお迎えください。

写真は弘前のカトリック幼稚園です。毎年この時期ステンドガラスに灯りがともります。

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